レアアース泥調査でも活躍、JAMSTEC海底広域研究船「かいめい」をガッツリ見るイマドキのフナデジ!(16)(1/3 ページ)

「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する本連載。第16回は、JAMSTECの海底広域研究船「かいめい」を取り上げる。

» 2026年07月07日 08時00分 公開
[長浜和也MONOist]

 連載「イマドキのフナデジ!」では、「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する。今回は、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の海底広域研究船「かいめい」を取り上げる。

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3つに分けられる「かいめい」の任務

 JAMSTECの「かいめい」は、海底や海底下を調べるための研究船だ。全長100.5m、幅20.5m、深さ9.0m、満載喫水6.3m、国際総トン数(外国に航海する船舶の大きさを表すために用いられる指標)5747トン、巡航速力12ノット、航続距離約9000海里、定員65人(うち乗組員27人に研究者など38人)。主推進機関は2400kWの推進電動機2基で構成する(以上、海底広域研究船「かいめい」利用の手引き(2026年3月改訂版)より)。

JAMSTEC横須賀本部の岸壁から見た海底広域研究船「かいめい」 JAMSTEC横須賀本部の岸壁から見た海底広域研究船「かいめい」。全長100.5m、国際総トン数5747トンの船体に、観測艤装(ぎそう)をまとめた海底研究プラットフォームだ[クリックで拡大]

 海底資源の分布などを広域調査するとともに、鉱物や鉱床の生成環境を捉える総合的科学調査が可能な研究船である。採取した試料を新鮮な状態で分析解析できる洋上ラボ機能を持ち、気候変動研究や、地震/津波に対する防災/減災研究にも貢献することが期待されている。

 かいめいの任務は大きく3つに分けられる。1つ目は、海底資源分布の広域調査と、鉱物鉱床の生成環境を捉える科学調査。海底資源と言えば、南鳥島沖の水深約6000mの海底に存在するレアアース泥に注目が集まっているが、かいめいはこれまでの調査で活躍してきたことが知られている。

 2つ目は、地球規模の気候変動に関わる大気海洋環境の変化把握や古環境変動の解明。3つ目は、海底下の地殻構造探査と、地震津波に対する防災減災研究だ。かいめいは「海底資源を探す船」だけでなく海底地形、海底下構造、海洋環境、地質試料、海底映像を組み合わせて、海と地球を総合的に調べるプラットフォームといえるだろう。

 搭載する3モード対応地震探査システムは、3次元探査、3次元高解像度探査、2次元探査を目的に応じて使い分ける。また、海底資源サンプリング装置としては、海底設置型掘削装置(BMS)とパワーグラブを備える。40mピストンコアラー、CTD(電気伝導度、温度、水深)採水装置、3000m級ROV(遠隔操作型無人潜水機)も搭載する。さらに、マルチビーム音響測深機、多層式流向流速計、音響測位装置、船上重力計、磁力計、気象等大気観測機器、コンテナラボなども、研究観測設備として用意している。

DPSで高精度船位保持が可能な操舵室

 かいめいの操舵室は、前方視界を大きく確保した横長の空間で、前面に主コンソールを配置し、その中央付近にレーダー、ECDIS、DPS関連、主推進器とスラスター操作盤、各種情報盤を組み込んでいる。航海のためのブリッジであると同時に、観測航行を制御する中枢としても機能する。

操舵室を左舷から右舷に向けて望む 操舵室を左舷から右舷に向けて望む。前面窓に沿って統合化ブリッジシステムコンソールが連なり、レーダー、航海情報表示、DPS関連表示、各種操作卓を配置する[クリックで拡大]
操船コンソール右舷側 操船コンソール右舷側。画面右側にECDIS、中央寄りに気象観測データ表示とDPS画面が、さらにその左側にもう1台のECDISが並ぶ。航海情報、環境情報、船位保持に関わる情報を同じ視線の範囲で確認できる[クリックで拡大]
操船コンソール中央部 操船コンソール中央部。舵輪とオートパイロットを中心に、アジマスハンドル、スラスターレバー、エンジンテレグラフ、レーダー、各種航海計器を備えて、通常の航海と高精度観測航行を可能にしている[クリックで拡大]
コンソール左舷側 コンソール左舷側。レーダーを中心に、スラスター関連の操作卓、アナログ計器、通信系操作卓が並ぶ[クリックで拡大]

 中央付近に置かれたDPS操作卓の画面には船体の位置や方位、風などの外乱情報、推進器やスラスターの状態を表示する。手前にはDPS専用の入力装置があり、ジョイスティック、トラックボール状の入力部、ノブ、ボタン類が並ぶ。

 DPSはDynamic Positioning Systemの略で、風、潮流、波浪などの外乱を受けながら、推進器やスラスターを制御して船位や船首方位を保つシステムだ。海底調査では、目的地まで船を走らせるだけでなく、予定している観測点に船位を高精度で維持し、ROVや採泥器の投入と揚収に合わせて船の姿勢を保つ、海中に下ろした機器やケーブルの状態を考えながら微速で動くといった運用が必要になる。

かいめいのDPS操作卓 かいめいのDPS操作卓。コンソールのディスプレイには船位や船首方位の保持に関わる情報を集約し、手前にはジョイスティックや入力部を備えた専用操作卓を置く[クリックで拡大]
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