かいめいの後部には広い作業甲板があり、クレーン、観測ウインチ、移動台車、ギャロースなどを配置する。
常設の観測ウインチとしては、CTD用繊維索ケーブルウインチ、CTD用鋼線ケーブルウインチ、大型ピストンコアラー用ウインチ、BMS(海底設置型掘削装置)ケーブルウインチを備えている。CTD用繊維索ケーブルウインチは、繊維索ケーブル10.6mm径、索長1万93mを備え、CTD採水装置に対応する。CTD用鋼線ケーブルウインチは、鋼線同軸ケーブル10.6mm径、索長7953mで、こちらもCTD採水装置に対応する。大型ピストンコアラー用ウインチは、繊維ロープ30mm径、索長1万2000mにおよび、GPC(ジャイアントピストンコアラー)採泥に用いる。BMSケーブルウインチは、光電気複合ケーブル36.6mm径、索長6330mを備え、海底設置型掘削装置とパワーグラブに対応する。
後部上甲板から見た作業甲板周辺。船尾側にはAフレームクレーン、甲板上にはピストンコアラーギャロースにCTDギャロース、中折れ式7.5トンクレーン(写真内左側にある右舷側)、ROV用クレーン、15/30トン多関節式クレーン(写真内右側にある左舷側)など、観測機器を海中へ投入/揚収する艤装が並ぶ[クリックで拡大]
後部の広い作業甲板。木甲板の作業面にはレール状設備、固定点、ハッチが並び、重量物の移動や固定を前提にした構成となっている。船尾側には内高13.8m、内幅8.8m、最大荷重35トンのAフレームクレーンを備える[クリックで拡大]これらの常設観測ウインチはいずれもAHC機能付きだ。AHCはActive Heave Compensationの略で、波による船体動揺の影響を抑える。深海観測では、船体の上下動がワイヤやケーブルを通じて海中の観測機器に伝わるが、AHCは、その影響を抑え、採水、採泥、海底掘削、パワーグラブによる採取作業を安定させる。
クレーン類も、観測機器の扱いに合わせて、15/30トン多関節式クレーン、7.5トン中折れ式クレーン、CTD中折れ式ギャロース、Aフレームクレーンなどを用意している。Aフレームクレーンは、内高さ13.8m、内幅8.8m、最大起倒角度170度、作動時間150秒。最大荷重は35トン(振出固定/観測時)、20トン(起倒動作時)。船尾側で大型の海中機器を扱うための中核的な艤装だ。
15/30トン多関節式クレーンは、主巻1本掛けで15トン×15mまたは10トン×20m、主巻2本掛けで30トン×9mまたは10トン×20m、補巻1本掛けで2トン×20mの能力を持つ。7.5トン中折れ式クレーンは定格7.5トン×15m、CTD中折れ式ギャロースは定格5トン×4.5mとされる。甲板上の機器を単につるだけでなく、観測機器の種類や投入揚収位置に応じて使い分ける構成だ。
作業甲板の床面は観測機材を保護するため木甲板となっている。作業面には自走式移動台車を左舷用、右舷用の2台装備し、船尾上甲板を格納庫内から最後部まで縦行移動できる。1台当たり15トンまでの物品を移送可能だ。さらに、CTD採水装置移動台車は、CTD室から船体中央上甲板右舷まで横行移動し、1トンまでの物品を移送できる。
右舷側に設置したCTD中折れ式ギャロース(写真内左側)とピストンコアラーギャロース(同右側)。CTD中折れ式ギャロースは定格5トン×4.5mで、CTD採水装置の投入・揚収を支える。ピストンコアラーギャロースは、GPCなど柱状試料採取機器の運用に関わる[クリックで拡大]後部作業甲板は、屋外の広い甲板ではなく、観測装置、常設観測ウインチ、クレーン、ギャロース、移動台車、操作室が連続する作業システムとして成り立っている。かいめいが「走る船」ではなく、観測機器を運用する研究プラットフォームであることは、この後部作業甲板を見るとよく分かるだろう。
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