今回の調査結果について、調査委員会 委員長の伊丹俊彦氏(WIN法律事務所)は「今回の調査で確認した品質不適切行為は行為態様が多様であり、その原因も一様ではない。企業は組織/制度/プロセスが複雑に連関していることから、不正や不適切行為のリスクもシステム全体のリスクとして分析/対処する必要があると考えている。そこで当委員会は役職員の判断/行動に影響を及ぼし、不適切な取り扱いの発生/継続を許した組織の状態を『不健全な状態』と捉え、その上でこうした状態の形成/定着を招いた事業運営などの在り方を『構造的な問題』と位置付けて分析した」と強調した。
今回の調査で判明した不健全な状態について、会見では3つの層に分けて説明した。 経営層においては、事業および現場の実態を把握するための透明性を確保しないまま、トップダウンで設定した目標の無理や矛盾をBUや拠点に負わせる状態であったことが判明した。コーポレート層においては、各BUや拠点の発注/製造/品質保証の実態を十分に把握せず、モニタリングなどを実施する機能が十分に働いていなかった。BU/拠点層においては業績目標の達成やコスト低減、納期順守、供給継続などのプレッシャーの下、顧客合意または法令/認証などの順守や品質保証プロセスの一部が業績目標達成の要請に迎合する状態であった。
伊丹氏は「こうした不健全な状態を形成/定着したのは、例えば経営層においてはグループの急速な規模拡大に見合う体制を整備しなかったなどの構造的な問題にあると捉えている」と説明した。不健全な状態が形成/定着することで、工程能力上の問題、顧客合意や法令/認証などとの不一致といった問題は組織的に解決されることがなく、各拠点における例外的な運用によって処理されるようになった。この結果、不適切行為が日常業務の一部として反復され、承継されていたと考えられる。
これらの構造的な問題に対して、調査委員会は個別事案の是正と解決にとどまらず、経営管理や組織、制度および業務運用などを総合的に改め、不健全な状態を「ありたい姿」へと転換する必要があると捉えている。伊丹氏は「各レイヤーのありたい姿を実現するため、役職員の価値観/判断/行動に働きかけるソフト面の施策と、経営管理/組織権限/モニタリング監査を整備するハード面の施策を相互に整合させ、並行して実施することが大切である」と語る。
ニデックの経営層に期待されるありたい姿としては、短期的な視点にとどまらず中長期的な時間軸の視点を有し、組織の在り方と進むべき方向性を再定義して、品質への姿勢を含む重要な価値観を共有することである。これに加え、継続的な組織学習を行うことを重視しながら、個人ではなくチームとして質の高い意思決定を行う必要があるとした。
コーポレート層のありたい姿としては、ゴールなどを経営者と共有しつつ、全体最適の実現に向けて主体性を持って部門横断的に事業部門をサポートすることが重要であると捉えている。BU/拠点層におけるありたい姿については、プリンシプルを事業部門の各役職員が共有しつつ、高い目標の実現に向けて健全な挑戦を続ける姿を挙げた。
これらのありたい姿を実現するためには、役職員の価値観や判断、行動に働きかける「ソフト面の施策」と、経営管理や組織、権限、情報基盤、モニタリング、監査などを整備するハード面の施策を、相互に整合させて並行して進めることが大事となる。
今回の調査結果を振り返り伊丹氏は「調査の結果、ニデックグループの複数のBU/拠点において、さまざまな品質不適切行為が確認され、その一部が長期間にわたり業務運営に組み込まれ、反復継続されていることが明らかとなった。会計不正問題に続き、製造業の根幹に関わる品質保証の領域において、この規模の不適切行為が明らかになったことは極めて重大であるという風に認識をしている。会社(ニデック)はこうした事態を招いたことを重く受け止め、報告書に記載されている改善策の提言も参考にしながら、改善策を今後実行していく必要があると思っている」と所感を述べた。
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