電気抵抗が高いデバイスの壁を突破、二次元量子ドットの新たな高速測定手法研究開発の最前線

東北大学は、二次元層状材料量子ドットの高速測定手法を開発したと発表した。二層グラフェンや二硫化モリブデンなどの電気抵抗が高い二次元材料量子デバイスでも、高周波反射測定による高速かつ高感度な読み出しが可能だと実証した。

» 2026年09月10日 11時00分 公開
[MONOist]

 東北大学と物質・材料研究機構は2026年8月26日、二次元層状材料量子ドットの高速測定手法を開発したと発表した。二層グラフェンや二硫化モリブデン(MoS2)などの電気抵抗が高い二次元材料量子デバイスでも、高周波反射測定による高速かつ高感度な読み出しが可能だと実証した。

 研究では、量子常誘電体材料のチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を用いた可変コンデンサーを高周波共振回路に組み込み、これを二層グラフェン量子ドットとMoS2デバイスに適用。回路全体の特性を精密に調整できる測定系を構築した。その結果、高周波信号がほぼ無反射となる完全なインピーダンス整合に近い状態となり、高感度な測定が可能になった。

(a)研究で用いた測定回路の概略図。(b)測定した高周波反射特性 (a)研究で用いた測定回路の概略図。(b)測定した高周波反射特性[クリックで拡大] 出所:東北大学

 また、高周波反射信号を復調測定することで、クーロン振動の観測に成功した。インピーダンス不整合時は検出が難しい微小なピークも、整合時は明確に検出できた。ピークの最大傾きは、インピーダンス整合条件下で最も大きくなり、傾きが大きいほど高感度な電荷検出が可能だ。

(a)可変コンデンサー容量を変化させながら測定したクーロン振動。(b)観測したピークの最大傾きを各容量についてプロットしたもの (a)可変コンデンサー容量を変化させながら測定したクーロン振動。(b)観測したピークの最大傾きを各容量についてプロットしたもの[クリックで拡大] 出所:東北大学

 同技術の性能評価を実施したところ、従来の量子ドット電荷センサーと同等以上の検出性能を達成できる可能性を示した。スピンバレー量子ビットの動作で重要となる垂直磁場を印加した条件下でも、回路性能が維持されることを確認した。同技術を応用することで、二次元材料量子ドットでも高速量子ビット読み出しが可能になると期待される。

 今後は、二次元材料のスピンバレー状態と組み合わせることで、量子状態の高速読み出しや量子操作の精密評価への応用を進める。

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