東北大学サイエンスパーク構想が本格始動、優秀な研究者と共創できる仕組みとは?研究開発の最前線(1/2 ページ)

東北大学と三井不動産は、両者のパートナーシップによる「東北大学サイエンスパーク構想」を本格始動したと発表した。

» 2024年04月30日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 東北大学と三井不動産は2024年4月26日、東京都内で記者会見を開き、両者のパートナーシップによる「東北大学サイエンスパーク構想(愛称:MICHINOOK)」を本格始動したと発表した。

 2004年に策定されたMICHINOOKは、東北大学が有する人材、設備、制度などを広く社会に対して提供することで、産学連携により最先端の技術を社会実装させ、イノベーションを生み出し、社会課題解決と新産業創造を目指す構想だ。先端技術開発に挑戦する企業と共創でき、学術研究を推進する大学、研究機関など、多彩なプレイヤーが集まり融合する「共創の場」を構築することも目標に掲げている。

 なお、愛称のMICHINOOKは「発想と想像は『未知ノ奥』にあり」という理念/コンセプトを由来としている。

東北大学サイエンスパークの整備状況

 両者は現在、同大学の青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)で敷地面積が約4万m2の施設「サイエンスパーク」を整備中だ。サイエンスパーク整備の第一弾として、研究棟「国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)」と産学連携拠点「青葉山ユニバース」の運用を2024年4月1日に開始し、MICHINOOKを本格始動した。

東北大学サイエンスパークの整備イメージ 東北大学サイエンスパークの整備イメージ[クリックで拡大] 出所:東北大学

 SRISは、青葉山新キャンパスに位置し同月に運用を開始した次世代放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」を用いた研究/開発を行う施設だ。

 青葉山ユニバースは、同大学が推進する研究開発のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う施設で、持続可能な社会の実現に向けたさまざまな研究を行う「グリーンクロステック研究センター」、小型人工衛星の製作/試験のためのクリーンルーム、タイムリーな開発を行う「宇宙ビジネスフロンティア研究センター」などで構成される。同施設には、NanoTerasuの活用や東北大学との共同研究などを行う民間企業およびスタートアップ企業が入居している。

研究棟「国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)」と産学連携拠点「青葉山ユニバース」のイメージ 研究棟「国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)」と産学連携拠点「青葉山ユニバース」のイメージ[クリックで拡大] 出所:東北大学
「半導体工学」「理工学」「ライフサイエンス」「情報科学」向けの最先端R&D設備も東北大学内に保有し、各領域で「NanoTerasu」で得られたデータを分析可能 「半導体工学」「理工学」「ライフサイエンス」「情報科学」向けの最先端R&D設備も東北大学内に保有し、各領域で「NanoTerasu」で得られたデータを分析可能[クリックで拡大] 出所:東北大学
東北大学 総長の冨永悌二氏 東北大学 総長の冨永悌二氏

 今回の構想では、両施設に加えて、青葉山新キャンパスに位置するNano Terasuと半導体関連の研究開発拠点を活用して、世界中から優秀な研究者や企業が集結することを目指す。

 同大学 総長の冨永悌二氏は「青葉山新キャンパスにおけるサイエンスパークの整備では、SRISと青葉山ユニバースに続く3棟目の施設として産学共創拠点が2027年に完成する予定だ。この施設の完成をもってサイエンスパークの整備は一段落つく。ただ、サイエンスパークに入居する企業の社員からは仮眠施設や飲食店、食料品店の開設を望む声も多く、そういったニーズにも対応していきたい」と話す。

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