約−253℃の液体水素中で、気泡発生と成長を可視化研究開発の最前線

東北大学は、液体水素の気化による気泡の発生、成長過程を約−253℃の極低温液体水素中で可視化することに成功した。大規模水素サプライチェーンにおける液体水素輸送技術の高度化と効率化への貢献が期待される。

» 2026年09月07日 11時00分 公開
[MONOist]

 東北大学は2026年8月19日、液体水素の気化による気泡の発生、成長過程を、20K(約−253℃)の極低温液体水素中で可視化することに成功したと発表した。

約−253℃の液体水素中に設置した加熱面から発生する気泡の挙動を捉えた画像 約−253℃の液体水素中に設置した加熱面から発生する気泡の挙動を捉えた画像 出所:東北大学

 研究では、液体水素の相変化現象を可視化するため、20Kの極低温かつ大気圧以上の圧力条件下で水素気泡を観察できる実験装置を構築。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場にある、液体水素供給設備を活用して検証を実施した。

 まず、0.1〜0.3MPaの圧力域で、液体水素の沸騰曲線、核沸騰が開始する過熱度、限界熱流束を計測した。同時に、予冷過程で取得した温度変化データを活用し、膜沸騰領域の沸騰曲線を取得。0.1MPaでの沸騰曲線の全貌を提示することに成功した。

 また、水素気泡の可視化解析により、気泡の成長は周囲の温度境界層を通じた流体側の熱伝導に支配されることが示唆された。気泡の離脱周期は、加熱面となる固体側の熱伝導に伴う温度回復挙動に支配されることが分かった。気泡表面の毛細管波に起因する、垂直方向の振動現象も観察された。

水素気泡の直径の時間変化 水素気泡の直径の時間変化 出所:東北大学

 今回の成果は、大規模水素サプライチェーンにおける液体水素輸送技術の高度化と効率化への貢献が期待される。今後は可視化計測技術を活用し、幅広い圧力範囲での気泡発生と成長現象の解明、減圧に伴うキャビテーション現象など、さまざまな相変化メカニズムの解明を目指す。

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