日本ファインセラミックスと東北大学は、骨の再生能力に優れ、生体吸収性が高い骨再生材料「リン酸八カルシウム」の量産化に成功し、サンプル出荷を開始した。
日本ファインセラミックスは2024年3月19日、骨の再生能力に優れ、生体吸収性が高い骨再生材料「リン酸八カルシウム(Octacalcium Phosphate:OCP)」の量産化に成功し、サンプル出荷を開始したと発表した。東北大学との共同研究による成果だ。
OCPは骨の無機成分である骨アパタイト結晶の前駆体に位置付けられる物質で、高い骨再生能力と優れた生体吸収性を有する。
両者はOCP合成のスケールアップに取り組み、医薬品合成において注目されている連続フロー合成のコンセプトを参考に、副生成物を伴わない均一組成のOCPの連続晶析プロセスへの応用に成功した。臨床評価に耐え得る量のOCPを合成できる。
確立した連続晶析プロセスでは、晶析時間1時間あたり170gのOCP生産が可能で、さらなるスケールアップも比較的容易に可能と考えられている。
東北大学は1991年にOCPの優れた特性を見出し、ベンチスケールレベルでの合成方法を確立した。しかし、スケールアップには、副生物の析出による品質確保が課題となっていた。両者は2013年から臨床応用拡大を見込んだOCP量産化に関する共同研究を進めていた。今後は幅広い医薬品、医療機器製造会社との協業を通じて、OCP製品化を目指すとしている。
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