京都大学とサイフューズが共同で実施した、末梢神経損傷に対する3次元神経導管移植に関する医師主導治験で、有効性および安全性が示された。サイフューズ、太陽ファルマテックらは、社会実装に向けて開発を進めていく。
京都大学、サイフューズ、太陽ファルマテックは2024年3月1日、京都大学医学部附属病院とサイフューズが共同で実施した末梢神経損傷に対する3次元神経導管移植に関する医師主導治験の成果と、同成果を基にした今後の社会実装に向けた取り組みについて発表した。
2022年11月に開始した「末梢神経損傷を対象とした3次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」は、サイフューズが開発したバイオ3Dプリンタを用いて製造した3次元神経導管を、世界で初めて患者に移植した治験となる。
具体的には、末梢神経損傷患者の腹部から採取した線維芽細胞を基に製造した3次元神経導管を患者の神経損傷部位に移植し、12カ月間観察した。今回治験に参加した3人の患者全員が、知覚神経と機能的な回復を認め、現職へ復帰することができた。また、全ての患者で副作用や問題となる合併症は発生せず、安全性が確認された。
末梢神経再生は、京都大学とサイフューズが日本医療研究開発機構などの支援を受けて研究開発から臨床開発まで進めてきた。その後、サイフューズ主導の下、太陽ホールディングスらの連携企業などが、実用化の製品開発に取り組んできた。
今後は、サイフューズと太陽ホールディングス、太陽ホールディングスの子会社である太陽ファルマテックが主導する形で、京都大学をはじめとする医療機関と協働し、3次元神経導管の再生医療等製品としての上市を目指す。
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