熱硬化性樹脂は一度固まると再び熱を加えても溶けないため、従来は射出成形のようなバリのリサイクルができず、焼却処分するしかなかった。さらにタイは熱硬化性樹脂の使用量が多かった。
そこでアユタヤ工場では、環境負荷の低減を目指し、熱硬化性樹脂のリサイクルに取り組んだ。当時まだ日本で勤務していた佐田氏も携わった。現在はアユタヤ工場で働く佐田氏は「アユタヤ工場は技術的にも成熟していたため、新たなチャレンジがしやすかった」と振り返る。
品質と量産安定性の観点で、「バリをどこまで細かくすればよいか」と「バージン材との混合比率」に難しさがあったが、タイと日本のメンバーが試行錯誤を繰り返しながら、外観品位と品質のバランスを達成する微細サイズおよび混合比率を見つけ、熱硬化性樹脂のリサイクル技術を確立した。
日タイの協力で生まれたこの技術は、現在では日本やベトナム、台湾、インドネシア、インドの製造拠点にも横展開され、グローバルな技術となっている。
各部品の精度さらには製品品質を大きく左右するのが金型だ。パナソニック マニュファクチャリング アユタヤでは、先述した「良い商品は良い部品から、良い部品は良い金型から」という考えの下、ワイヤ放電加工機や形彫放電加工機、マシニングセンタをそろえ、金型の製作や保守も含めた一貫内製の体制で社内に金型技術を蓄積している。
もちろん、高度な工作機械を並べても、最終的には技術者一人一人の技能が、金型の精度を決定する。アユタヤ工場では技術者育成に力を注いでおり、パナソニックグループが技能向上のため毎年日本で開催している「パナソニックモノづくり競技大会」において、パナソニック マニュファクチャリング アユタヤの金型部門のメンバーは機械組み立てや平面研削盤(B)などの競技で何度も金メダルを獲得するなど優秀な成績を残している。
出場メンバーが現場に戻り、次の指導者となって後輩へ技術を引き継ぐことで、技能伝承のエコシステムが回っている。
次回は、アユタヤ工場の新たな自動化への取り組みや品質評価システムなどを取り上げる。
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