日常的に触れるスイッチやコンセント。パナソニックグループの祖業でもある配線器具事業において、長年グローバル展開の要となっているのがタイのアユタヤ工場だ。東南アジアをはじめとする他拠点を牽引するタイのモノづくりを現地からレポートする。
タイの首都バンコク中心部からクルマで北へ約1時間強。かつて王朝が栄えた古都アユタヤまで順調に流れていた早朝の道路は、日本企業も多く入居するロジャナ・アユタヤ工業団地に差し掛かると、工業団地内の工場へ向かうクルマで混み始めた。
日本でも見慣れた企業のロゴが掲げられた工場を幾つも通り過ぎると、この地を襲った大洪水を乗り越え、30年以上稼働するパナソニック エレクトリックワークスの海外生産拠点であるパナソニック マニュファクチャリング アユタヤ(以下、アユタヤ工場)が見えてくる。
本稿では、長年培ってきた高い開発/製造力を武器に、ASEANなど他拠点をリードする同社のモノづくりを3回にわたって紹介する。今回は、タイにおける配線器具事業や各部品の製造工程を追う。
家庭やオフィスで毎日のように触れるスイッチやコンセント。パナソニック エレクトリックワークスは現在、パナソニックグループの祖業でもあるこれら配線器具の事業を担っている。日本やインドネシア、ベトナムなどでトップシェアを持ち、グローバルシェアも2位となっている(いずれも同社調べ)。
同社は、この配線器具をはじめとする海外電材事業を加速させており、海外売上高比率を2025年度の22%から2030年度に35%へと拡大させ、特にインドでは2030年度に2024年度比で2倍となる2000億円の売り上げを目指している。
アユタヤ工場は1994年から操業している。
パナソニック マニュファクチャリング アユタヤは配線器具を生産するECMディビジョンの他、MEGTRONなどの基板材料を製造するCCLディビジョン、車載部品向けの成形材料などを生産するPMディビジョンなどを擁しており、敷地内ではMEGTRONを生産する新棟の建設も進んでいる。全体の敷地面積は11万7000m2に及ぶ。
ここで製造された配線器具はタイ国内の他、中東やフィリピン、ベトナム、インドネシアなど10カ国へ輸出されている。現在、世界中に生産拠点を持つ配線器具事業の中でも、タイは早い段階から進出した地であり、グローバルでの事業を長く支えてきた。
2011年10月には、タイで大洪水が発生。チャオプラヤ川流域から氾濫した水が押し寄せ、アユタヤ工場は1.86m浸水して一時生産を停止するなどの大きな被害を受けた。
従業員が一丸となって復旧へ向けた活動に当たり、金型は水の中から引き上げ、さび止めや洗浄を行った。水が引いた同年11月には工場の復旧活動を開始し、翌2012年3月には新しい成形機などの設備を搬入、同年7月には製造を再開した。復旧作業期間中には、タイの従業員が瀬戸工場へ行き、ブレーカーの製造を行う一幕もあった。
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