横浜ゴムは、東北大学と共同で、タイヤの補強材であるスチールコードとゴムの接着界面における有機酸コバルトの接着性と耐劣化性向上のメカニズムを世界で初めて(同社調べ)ナノレベルで解明した。
横浜ゴムは2026年6月30日、東北大学と共同で、タイヤの補強材であるスチールコードとゴムの接着界面における有機酸コバルトの接着性と耐劣化性向上のメカニズムを世界で初めて(同社調べ)ナノレベルで解明したと発表した。
今回の研究では、黄銅めっきスチールコードを、ステアリン酸コバルトを添加した天然ゴムに埋め込み、加硫接着した試料を作製し、走査透過電子顕微鏡により高精度な界面解析を実施した。
その結果、コバルトが高濃度で加硫後の接着界面に局在しているだけでなく、硫化コバルトとして存在することを世界で初めて直接観察した。この硫化コバルトは、黄銅めっきからゴム内部への銅と亜鉛の溶出および破壊の起点となる黄銅内部の空隙形成を抑制するバリア層として働く。これにより、ゴムとスチールコードの接着性/耐劣化性の改善に貢献し得ることを突き止めた。また、高温高湿の環境下で劣化させた場合、主に硫化コバルトのバリア層が弱いエリアで、銅と亜鉛の溶出や空隙が増加していることが分かった。
高温高湿環境下で劣化処理したゴム-黄銅接着界面の走査透過電子顕微鏡像(白黒表示)とコバルト分布(ピンク表示)。劣化した接着界面では、主として硫化コバルトのバリア層が疎な領域を通じて銅と亜鉛の溶出が起こり、黄銅内部の空隙が拡大した様子が観察されている 出所:横浜ゴムこれまでは、主に経験則でゴムとスチールコードの接着界面を設計しており、今回の成果は、科学的なノウハウに基づく分子設計/材料設計指針を提供するものとなる。
乗用車などに用いられるタイヤには、高い剛性と形状保持性が必要なため、黄銅めっきが施されたスチールコード(金属)が補強材として使用されている。ゴムと金属の接着界面が剥離すると、バーストなどの重大な構造破壊を引き起こすため、極めて高い初期接着性と長期的な耐環境劣化性が不可欠となる。
現在、これらの要求性能に応えるために、ゴム中にステアリン酸コバルトをはじめとする金属触媒を配合する手法が一般的に用いられているが、長期的にはゴムの酸化劣化を促す「金属害」が発生するリスクがある。また、コバルトは健康面や供給リスクの面で問題があり、環境規制強化の観点からも、代替技術の開発や使用量最適化が課題だ。
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