完成したゲートウェイは、150×152×52mm、重量800g以下という小型設計であり、防水防塵(じん)規格のIP55に準拠し、−15〜55℃までの温度環境下での動作が可能である。本体にソーラーパネルとニッケル水素電池を内蔵しており、外部電源を引き込むことなく単独稼働を実現している。通信は4G/LTEを利用してクラウドへ直接データを送信する。
デバイスの下部には、アナログ用2つ、デジタル用2つ、ACアダプター用の計5つのコネクターが備わっており、ケーブルで各種センサーを物理的につなぐ仕組みだ。温湿度、土壌温度、体積含水率、水深、日射、サーミスター、CO2などが検知可能である。また、グリーンが保有する天気予報情報をAI(人工知能)に学習させることで、5日先までの土壌水分の予測なども実現した。
ハードウェアから収集した環境データに加え、生育記録や作業履歴といったデータをクラウドへ集約し、ソフトウェア上で一元的に可視化できるようにした。ユーザーは、Webアプリケーションやスマートフォン、タブレット端末の専用アプリを通じて栽培状況を確認できるほか、異常時のアラート通知を受け取ることができる。また、農業版BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとしての機能も有しており、蓄積したデータを分析して栽培判断に生かすことが可能になる。
今回発表した鹿児島県南種子町への導入は、同町内でシーズファームが運営する農園への先行導入が契機となった。農業未経験者の従業員が多くを占めるシーズファームでは、農業ノウハウの不足や、種子島特有の変わりやすい天候への対応が課題であった。
シーズファーム 代表取締役社長の坂口浩太郎氏は、「e-kakashiをフルーツパプリカ栽培に導入した1年目は、ストレスアラートが多発する反省を残したものの、標準糖度11度をクリアし、年間出荷量4トンを記録した。続く2年目は前年の反省を生かし、温度管理とCO2濃度に着目してストレスを未然に防ぐ栽培に取り組んだ。その結果、標準糖度11度を維持しつつ、年間出荷量は作付面積当たりの前年比で1.3倍となる8トンを達成した」と成果を語る。
南種子町では2025年7月より、町内24戸の農家(パプリカ、オクラ、レザリーフファン、マンゴーなど)にe-kakashiを導入。同年9月からは、カボチャを栽培する6戸が加わり、現在は合計30台の機器が町内で稼働している。
また、北海道のカルビーポテトにおけるジャガイモ栽培では、昨今の干ばつに対応するため土壌体積含水率などの数値データを分析した。芽が出てから花が咲くまでの重要な生育ステージにおいて、データに基づくアラート機能を活用し適切なタイミングで水やりを行った結果、干ばつの影響を回避し、収穫量が最大1.6倍に増加した。
今後の展望として、グリーンはe-kakashiの機能拡張やサービスの高度化を図っていく方針である。戸上氏は、「農業にとどまらず、漁業といった他の一次産業や、工場や製造現場などでも活用できる可能性がある。今後は他分野への展開も含めて検討したい」と展望を語った。
TEDは、IoTゲートウェイの提供と検証支援を通じて、e-kakashiのサービス基盤を技術面から継続的に支えていく。地方ごとに異なる多様な農業課題の解決に向けて、システムの要となるゲートウェイの普及をハードウェアの側面から力強く推進していく構えである。木村氏は「地方ごとに異なる多様な農業課題の解決に向けて、システムの要となるゲートウェイの普及をハードウェアの側面から推進したい」と意気込みを語った。
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