リガクはマイクロスポット高分解能X線回折システム「XTRAIA (エクストライア)XD-3300」の本格商業生産を開始した。
X線分析装置メーカーのリガクは2025年7月29日、マイクロスポット高分解能X線回折システム「XTRAIA (エクストライア)XD-3300」の本格商業生産を開始したと発表した。
国内外では近年、生成AI(人工知能)やデータセンターの需要拡大を背景に、半導体の微細化と3次元化が進み、HBM(High Bandwidth Memory)、3D DRAMなどの次世代メモリや2nm世代以降のロジック半導体へのニーズが高まっている。
これらのデバイスでは性能確保のために、Si/SiGe(シリコンゲルマニウム)プロセスを用いたナノスケール積層構造(超格子構造)の採用が進んでいる。その高度化した内部構造を適切に制御するには、Si/SiGeの組成や膜厚を正確に把握できる計測技術が必要だ。
こういった状況を踏まえて、リガクはXTRAIA XD-3300を開発した。XTRAIA XD-3300は、X線光学系から検出器、解析ソフトウェアに至るまでの全てを一貫してリガクが開発した独自の装置だ。同装置は、40μm角以下の微細パッド上で、数nm単位の積層構造まで、非破壊で内部を精緻に解析可能な他、高い分解能で、生産歩留まり向上に貢献する。
超高性能ミラーと湾曲結晶を組み合わせた独自のX線光学系により、最短で従来比約100分の1の時間で計測も行える。そのため、これまで数時間を要した解析を数分レベルまで短縮できるとともに、生産ラインに組み込みやすいスループット(単位時間あたりの処理能力)を確保している。
さらに、高度な解析ソフトウェアにより、Si/SiGeなど、多層構造の周期性/界面品質を正確に数値化できる。そのため、最先端メモリ/ロジック半導体の量産条件管理や開発フェーズに適している。
これらの特徴により、既に世界的半導体メーカーでXTRAIA XD-3300の採用が進んでいる。リガクはXTRAIA XD-3300で2025年度に10億円超の売上高を見込んでいる。また、工場新棟完成や製造ブース15室増設などで、XTRAIA XD-3300の生産キャパシティーの増強も既に完了しており、2025年度第4四半期以降には複数の世界的半導体メーカーへの納入を通じ、売上高が拡大する見通しだ。2030年度には100億円程度の売上高を目指す。
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