消費者の半数がSDVのハッキングリスクを懸念車載ソフトウェア

ソフトバンクの関係会社であるCubic3は、自動車メーカーと消費者を対象にSDVに対する意識調査を実施した。消費者の半数がハッキングリスクを感じており、自動車メーカー各社はコネクティビティを重要視している。

» 2025年05月21日 14時30分 公開
[MONOist]

 ソフトバンクの関係会社であるCubic3は2025年4月29日、自動車メーカーと消費者を対象にSDV(ソフトウェアデファインドビークル)に対する意識調査を実施したと発表した。消費者の半数がハッキングリスクを感じており、自動車メーカー各社はコネクティビティを重要視している。同調査は、自動車業界の幹部60人および英国、ドイツ、米国、日本における18歳以上の成人8000人の消費者を対象に実施された。

 車載デジタルサブスクリプションに関しては、4人に1人(世界:25%、日本:23%)の消費者が自動車向けデジタルサービスに料金を支払っている。自動車メーカー各社は、デジタルサービスを収益源として安定化させたいと考えている。

 自動車メーカーは、予知保全、安全機能の強化、自動運転が最も収益増加に貢献する可能性が高いと認識している。

キャプション デジタルサービスの購入に関する認識 出所:Cubic3

 セキュリティに関しては、消費者の半数(世界:48%、日本:51%)が自分の車がハッキングされるリスクがあると懸念している。自動車メーカー各社は、自動車のサイバーセキュリティを重んじており、86%がデジタルサービスのサイバーセキュリティが重要であると回答している。また、車両のライフサイクル全体において車両を守るにはコネクティビティが重要であると、同じ割合の回答者が認識している。

キャプション 車がハッキングされる懸念に関する認識 出所:Cubic3

 日本の消費者の32%は、自動車メーカー各社がドライバーのデータを第三者に販売すべきではないと考えており、世界全体ではその割合は44%となった。前述の問いについて、日本人の33%(世界:26%)が「問題ない」と回答しており、37%(世界:24%)がどちらとも言えないと認識している。

 安全規制の問題に関しては、自動車メーカー各社は多様な消費者感情に対応する必要があるが、消費者は車両の長期使用と価格が手ごろな安全機能を強く支持している。日本の回答者の53%が警告灯の点灯を認識してから1週間以内に修理サービスを利用すると回答したのに対し、世界全体では49%であった。修理期間の平均は1.5週間で、2〜4週間以内に修理を完了してほしいと回答した人は日本人では16%だったが世界全体では19%であった。

 上記の回答から、自動車メーカーが物理的な車両検査をせずに、特定のパフォーマンスニーズに対応可能とすることで、消費者の満足度、安全性、利便性が大きく増加する、無線(OTA)アップデートに好機があることが示唆される。

 今後3年以内に速度制限および注意散漫防止技術を導入する予定があると自動車メーカーの33%が回答している。これには、米国のように、法律上の義務がない国も含まれる。日本のドライバーの半数以上(56%)は、新車にこのような安全機能が搭載されることに賛成しているが、無視できない数が反対している。仮に速度制限技術が実際に導入された場合、英国人の28%が別の車に変更すると回答した。これは、このテーマには賛否両論があり、自動車メーカー各社が同技術を導入した場合、ドライバーから反発される可能性があることを示している。

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