産業ガスセグメントの売上高は同4%増の1兆3011億円で、コア営業利益は同14%増の1861億円だ。同セグメントでは、国内の事業再編による影響や米国におけるガス需要軟調に伴い、エアセパレートガス以外の製品における販売数量の減少があった。しかし、各地域で推進する価格マネジメントや為替影響などにより売上高は増加した。コア営業利益はコスト削減の影響などにより増えた。
トランプ関税の影響に関して、木田氏は「現在米国で販売している製品は米国で生産しているため直接影響は軽微だ。ただし、間接的な影響の大きさは判断しにくい。現状は間接的な影響も含めてトランプ関税により100億〜200億円の利益減少があるとみている」と話す。
当日は、三菱ケミカルグループが連結子会社である田辺三菱製薬の譲渡により得られる約5100億円の資金を活用し、500億円の自己株式取得枠を設定することも発表した。
三菱ケミカルグループは2025年2月7日、田辺三菱製薬を、Bain Capital(そのグループを含み、以下、ベインキャピタル)が投資助言を行う投資ファンドが間接的に株式を保有する特別目的会社であるBCJ-94の傘下に異動することを公表した。この異動に際して、三菱ケミカルグループはベインキャピタルから約5100億円相当の金銭を対価として受け取る予定だ。
この資金のうち500億円を活用し、株主還元の強化と資本効率の向上を図るため、自己株式取得に関する事項を決議した。さらに、中長期的な株主価値の向上を図るため、取得した自己株式はその全株の消却を実施する。
残りの4600億円のうち、1500〜2000億円を新たな成長への投資と負債返済に使用する。2500〜3000億円を、2035年度までの期間を対象とする新経営ビジョン「KAITEKI Vision 35」で掲げている5つの注力事業領域「グリーン・ケミカルの安定供給基盤」「環境配慮型モビリティ」「データ処理と通信の高度化」「食の品質保持」「新しい治療に求められる技術や機器」の設備投資や投融資に用いる。
三菱ケミカルグループの2025年3月期通期業績予想に関して、売上高は前年同期比5%減の3兆7400億円、営業利益は同44%増の2020億円、コア営業利益は同16%増の2650億円になる見通しだ。
同社では、MMA事業で市況悪化に伴う減益を見込む一方で、各事業での値上げ活動推進などによる増益に加え、ベーシックマテリアルズ&ポリマーズの炭素事業では構造改革などの効果による黒字化を見込んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.