三菱ケミカルグループのケミカルズ事業が黒字に トランプ関税の影響は軽微製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

三菱ケミカルグループは、2025年3月期通期の決算で、売上高は前年同期並みの4兆4074億円となるも、営業利益は同25%減の1967億円となった。

» 2025年05月14日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 三菱ケミカルグループは2025年5月13日、オンラインで記者会見を開き、2025年3月期通期(2024年4月1日〜2025年3月31日)の決算と2026年3月期通期(2025年4月1日〜2026年3月31日)業績の予想について発表した。

スペシャリティマテリアルズセグメントが増収増益

 2025年3月期通期の売上高は前年同期並みの4兆4074億円となるも、営業利益は同25%減の1967億円となった。営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除外したコア営業利益は同43%増の2984億円を記録した。

2025年3月期通期における連結損益計算書 2025年3月期通期における連結損益計算書[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ
コア営業利益(全社)増減要因 コア営業利益(全社)増減要因[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 2025年3月期通期の世界経済は、米国では良好な雇用環境が個人消費を下支えしたことで底堅い成長が続き、欧州ではインフレの鎮静化や金融政策を背景に持ち直しの動きがみられ、日本では設備投資の増加やインバウンド需要の拡大に伴い緩やかに回復した。

 一方で、中国では不動産市場の低迷などによる成長の鈍化がみられるなど、地域や業種により濃淡のある状況が継続した。また、ディスプレイ関連は中国における補助金政策の効果もあり好調に推移し、半導体関連は生成AI(人工知能)関連需要のけん引により緩やかな回復基調にあった一方で、自動車や食品関連市場などの一部地域/分野では軟調さがみられた。

 セグメント別では、スペシャリティマテリアルズセグメントの売上高は同4%増の1兆813億円で、コア営業利益は同239%増の251億円となった。同セグメントでは、米国でシリコンケミカルや金属化合物を手掛けるメーカーで、三菱ケミカルグループ傘下のGelestの生産設備/無形資産を減損したことによる影響があったものの、ディスプレイ、半導体、バリア包材用途などの需要が回復したことによる販売数量の増加や各種製品の販売価格の維持/向上による売買差の改善などによりコア営業利益が増加した。

 同セグメントは、アドバンストフィルムズ&ポリマーズサブセグメント、アドバンストソリューションズサブセグメント、アドバンストコンポジット&シェイプスサブセグメントから成る。

スペシャルマテリアルズ事業のコア営業利益増減分析 スペシャルマテリアルズ事業のコア営業利益増減分析[クリックで拡大] 出所:三菱ケミカルグループ

 アドバンストフィルムズ&ポリマーズサブセグメントでは、事業譲渡と撤退に伴う影響などがあったものの、為替影響に加え、ディスプレイ用途やバリア包材用途などの需要が緩やかに回復したことによる販売数量の増加や、各種製品の販売価格の維持/向上などにより売上高は増加した。

 アドバンストソリューションズサブセグメントでは、為替影響に加え、半導体やディスプレイ用途などの需要が増えたことによる販売数量の増加があったものの、電気自動車(EV)用途の欧米における販売数量の減少や、一部事業における販売価格の低下などにより売上高は減少した。

 アドバンストコンポジット&シェイプスサブセグメントでは、イタリアの炭素繊維複合材料メーカーであるC.P.Cの完全子会社化の影響と、高機能エンジニアリングプラスチックの需要が回復したことによる販売数量の増加や為替影響により売上高は増加した。

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