IDC Japanは、2024年の国内VR/ARヘッドセット市場について、前年比14.8%減の48.6万台であったと発表した。MRのみが対前年比で増加となり、Metaの「Quest 3」がその成長をけん引した。一方、Appleの「Vision Pro」など高価格帯モデルの浸透は限定的だった。
IDC Japan(以下、IDC)は2025年4月1日、2024年の国内VR(仮想現実)/AR(拡張現実)ヘッドセット市場の出荷実績を発表した。出荷台数の合計は48.6万台で、前年から14.8%減少した。
VR、AR、MR(複合現実)、ER(拡張現実)の4つのカテゴリーで調査を実施。今回唯一前年比で出荷数を伸ばしたのはMRだった。中でも、Metaが展開する「Quest 3」が堅調な出荷を記録。2019年に発売された初代「Oculus Quest」以降、Questシリーズはゲーム用途を中心に市場を確立し、法人向けの導入も進んでいる。
一方、Appleの「Vision Pro」はその注目度の高さに反し、出荷台数は法人向けの研究開発用途に限定される形となった。価格の高さが普及の妨げとなり、現時点では持続的な需要は見込めないとIDCは予測する。なお、AppleはVision Proの廉価モデルの投入を企画しているが、登場は2026年以降になる見込みだという。
VR市場においてはソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation VR2」の出荷数が減少し、前年割れとなった。また、今後VRカテゴリーで販売される後継機種はMRカテゴリーに分類される可能性が高く、IDCでは2026年以降、VR単体の市場は消滅に向かうと予測している。
AR市場も厳しい状況にある。Microsoftに加えて、成長が期待されたMagic Leapも事業の多くを停止しており、IDCではARカテゴリーの成長は今後も見込めないとしている。
一方、ER市場は「XREAL」を中心に一定の出荷を維持。前年比では減少したが、ニッチながらも確かな市場が形成されつつあるという。ただし、より安価なMRデバイスの台頭次第では、市場が縮小する可能性もあるとIDCは指摘する。
こうした動向を踏まえ、IDCは国内VR/AR市場が2029年には約38万台まで縮小すると予測している。
今回の調査結果を受け、IDC Japan Consumer Devices マーケットアナリストの井辺将史氏は次のように述べている。
「かつてはスマートフォンの代替となるデバイスとして大きな期待を寄せられていたAR/VRヘッドセットだが、現時点でその成長は停滞している。AppleのVision Proが世間から大きな注目を集めたことで、新たな用途開発が促進され市場が発展することに期待されたが、既出の用途の域を出るものではなかった。ただ、現在では停滞しているものの、MetaやXREALなど一定の成果を残している企業もある。ヘッドセットを装着したことによる没入感は、ユーザーにとって新しい体験を与えるものであり、この価値をより手軽に安価に体験できるようになれば、市場は劇的に変化する可能性がある」
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.