ウーブン・シティの第1期が完成、2025年秋から本格稼働モビリティサービス(2/2 ページ)

» 2025年02月26日 09時45分 公開
[齊藤由希MONOist]
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 地下には歩行者やパーソナルモビリティ、自動運転車などが通らない物流専用のルートを構築し、実証に活用する。物流の実証ではウーブン・シティのデジタルツインをリアルで活用しながら、デジタルの精度向上にもつなげ、未来の物流の在り方を検討していく。

地下にある物流専用ルート[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 インベンターズとウィーバーズの交流の場として、「コートヤード」も設けた。プラットフォームとしての「e-Palette」を活用した実証実験の会場になることを想定している。また、東富士工場の建屋の一部を残し、ウーブン・シティにおけるモノづくりに活用できるようリノベーションも進めている。

プラットフォームとしての「e-Palette」を活用した実証実験のイメージ[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 ウーブン・シティのコンセプトデザインはビャルケ・インゲルス・グループが担当し、日建設計が初期段階からデザインの具現化に携わった。三井住友建設は溶岩掘削など造成工事を、大林組が建設工事を実施した。設計に当たっては、環境への配慮やクオリティーオブライフ(QOL)の向上などに取り組んでいることが評価され、「LEED for Communities」で最高ランクであるプラチナ認証を取得した。

インベンターズとして参加する企業

 インベンターズとしてウーブン・シティに複数の企業が参加する。ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、教育事業を手掛ける増進会ホールディングスなどが2025年1月時点で正式に参加が決定している。

参加企業の取り組み
企業名 主な事業内容 Woven City実証テーマ
ダイキン工業 空調製品、フッ素化学製品などの製造・販売・アフターサービス 「花粉レス空間」や「パーソナライズされた機能的空間」に関する実証実験
ダイドードリンコ 清涼飲料などの製造販売 自動販売機を通じた新たな価値創造
日清食品 即席麺などの製造および販売 新たな「食文化」創造に向けた食環境の構築とその環境が及ぼす影響の検証
UCCジャパン コーヒー製造販売など国内事業会社の統括 未来型カフェの運営を通じたコーヒーの潜在価値の実証
増進会ホールディングス 通信教育、教室を展開する総合教育事業 データ活用による先進的な教育スタイルおよび新しい学びの場の実現

 この他にも複数の企業がウーブン・シティでの実証を予定している。ENEOSは、NEDOの採択事業を通じて裾野市の水素ステーションからウーブン・シティにパイプラインで水素を供給する。リンナイはガスコンロの燃料に水素を使う水素調理を開発中だ。水素はウーブン・シティで使うエネルギーインフラの1つだ。NTTはトヨタ自動車との協業でスマートシティープラットフォームを構築してウーブン・シティや品川駅前のNTT街区で先行ケースを実装する考えだ。

閉鎖から7年

 東富士工場の閉鎖が決まったのは2018年だ。跡地の用途を検討する中で、いわゆるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やAI(人工知能)、ロボット、持続可能なエネルギーなどさまざまな研究開発をリアルワールドで行える場所にしていくことを決めた。

 2020年1月開催のCESでコンセプトを発表し、2021年3月に造成工事が、2022年11月から建築工事が行われた。

トヨタ自動車の豊田章男氏[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

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