地下には歩行者やパーソナルモビリティ、自動運転車などが通らない物流専用のルートを構築し、実証に活用する。物流の実証ではウーブン・シティのデジタルツインをリアルで活用しながら、デジタルの精度向上にもつなげ、未来の物流の在り方を検討していく。
インベンターズとウィーバーズの交流の場として、「コートヤード」も設けた。プラットフォームとしての「e-Palette」を活用した実証実験の会場になることを想定している。また、東富士工場の建屋の一部を残し、ウーブン・シティにおけるモノづくりに活用できるようリノベーションも進めている。
ウーブン・シティのコンセプトデザインはビャルケ・インゲルス・グループが担当し、日建設計が初期段階からデザインの具現化に携わった。三井住友建設は溶岩掘削など造成工事を、大林組が建設工事を実施した。設計に当たっては、環境への配慮やクオリティーオブライフ(QOL)の向上などに取り組んでいることが評価され、「LEED for Communities」で最高ランクであるプラチナ認証を取得した。
インベンターズとしてウーブン・シティに複数の企業が参加する。ダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、教育事業を手掛ける増進会ホールディングスなどが2025年1月時点で正式に参加が決定している。
企業名 | 主な事業内容 | Woven City実証テーマ |
---|---|---|
ダイキン工業 | 空調製品、フッ素化学製品などの製造・販売・アフターサービス | 「花粉レス空間」や「パーソナライズされた機能的空間」に関する実証実験 |
ダイドードリンコ | 清涼飲料などの製造販売 | 自動販売機を通じた新たな価値創造 |
日清食品 | 即席麺などの製造および販売 | 新たな「食文化」創造に向けた食環境の構築とその環境が及ぼす影響の検証 |
UCCジャパン | コーヒー製造販売など国内事業会社の統括 | 未来型カフェの運営を通じたコーヒーの潜在価値の実証 |
増進会ホールディングス | 通信教育、教室を展開する総合教育事業 | データ活用による先進的な教育スタイルおよび新しい学びの場の実現 |
この他にも複数の企業がウーブン・シティでの実証を予定している。ENEOSは、NEDOの採択事業を通じて裾野市の水素ステーションからウーブン・シティにパイプラインで水素を供給する。リンナイはガスコンロの燃料に水素を使う水素調理を開発中だ。水素はウーブン・シティで使うエネルギーインフラの1つだ。NTTはトヨタ自動車との協業でスマートシティープラットフォームを構築してウーブン・シティや品川駅前のNTT街区で先行ケースを実装する考えだ。
東富士工場の閉鎖が決まったのは2018年だ。跡地の用途を検討する中で、いわゆるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やAI(人工知能)、ロボット、持続可能なエネルギーなどさまざまな研究開発をリアルワールドで行える場所にしていくことを決めた。
2020年1月開催のCESでコンセプトを発表し、2021年3月に造成工事が、2022年11月から建築工事が行われた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.