「幸せの量産」に向けて、自動運転からウーブンシティーに広がるトヨタの試み自動運転技術(1/3 ページ)

2021年9月8〜10日にオンラインで開催されたイベント「オートモーティブワールド」で、トヨタ自動車 先進技術開発カンパニー プレジデントの奥地弘章氏が「モビリティカンパニーへの変革」をテーマに講演した。

» 2021年10月05日 06時00分 公開
[長町基MONOist]

 2021年9月8〜10日にオンラインで開催されたイベント「オートモーティブワールド」で、トヨタ自動車 先進技術開発カンパニー プレジデントの奥地弘章氏が「モビリティカンパニーへの変革」をテーマに講演した。

 トヨタは現在、自動車メーカーからモビリティカンパニーへの変革に取り組んでいる。モビリティは、クルマに限らずヒト、モノ、情報の移動を意味しており、これらを実現するためには、他の業界との連携も重要となる。同社は実験都市「Woven City(ウーブンシティー)」での実証も交えて、全ての人の暮らしの豊さを量産していくことに力を注ぐ。

人、モノ、情報のモビリティ

 異常気象や交通問題、コロナ禍での経済不安などさまざまな社会課題に対して重要となるのがSDGsの考え方だ。政治だけでなく、企業も事業を通してそれぞれの目標の達成に貢献することを重要視している。SDGsにも直結するカーボンニュートラルの実現においては、自動車メーカーは電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)といったゼロエミッション車を製造するだけでなく、製造過程で排出されるCO2や、車両を充電する電力や発電に使用する水素を作る際に発生するCO2についても削減に取り組む必要がある。

 いかに再生可能エネルギーの活用を増やすか、各地域でエネルギーミックスに適したクルマを投入できるかという取り組みに加えて、不安定な再生可能エネルギーを貯蔵、運搬するための水素の活用なども必要となるという。

 トヨタがモビリティカンパニーへの変革を明確に打ち出したのは、2018年の「CES」だ。社長の豊田章男氏が自動運転車「e-Palette(イーパレット)」を披露するとともに、「モビリティカンパニーになる」と宣言した。

 これは単にクルマを作るだけでなく、世界中の人たちが幸せになるものやサービスを提供することで「幸せを作る会社になりたい」ということであり、モビリティカンパニーへの変革を進める未来への道しるべとなる「トヨタフィロソフィー」を再定義した。「大前提となるトヨタ綱領に、協力してもらえるパートナー、ソフトウェア、ハードウェアの3つの強みをトヨタウェイを通して融合し、価値を生み出す。その価値を提供することで全ての人たちに幸せを量産することをミッションに位置付ける。それにより可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える」(奥地氏)という未来の実現を目指している。

2018年のCESでのトヨタ自動車によるプレスカンファレンスの様子[クリックで拡大]

 人の未来の可能性に変える“モビリティ”には、人のモビリティ、モノのモビリティ、情報のモビリティがある。トヨタでは交通事故死ゼロを達成するために人のモビリティに向けて自動運転技術の開発を行っている。同社では、自動運転技術の実用化そのものは目的としていない。自動運転は手段の1つであり、全ての人々に安全・安心で自由な移動を提供するために開発を進めている。

 トヨタが考える自動運転技術のコンセプトは「モビリティチームメイトコンセプト」と呼ばれる。全ての人に移動の自由を提供し、運転したいときには運転を楽しみ、運転したくないときにはシステムに任せ、人とクルマが協調する、つまり「人とクルマが、同じ目的を目指し、ある時は見守り、ある時は助け合う、気持ちが通った仲間の関係を築く」(奥地氏)というものだ。

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