2026年3月19〜22日の4日間、国内最大級のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2026」が神奈川県横浜市内で開催された。本記事では、メイン会場のパシフィコ横浜の各ブース展示製品から小型船舶における技術動向を中心に紹介する。
2026年3月19〜22日の4日間、国内最大級のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2026」が神奈川県横浜市内で開催された。主催は日本マリン事業協会で、パシフィコ横浜および横浜ベイサイドマリーナを中心とした5会場で展開され、4日間の総来場者数は4万1874人に達した。
今回で65回目を迎えた本イベントは「もっと海が近くなる」をテーマに掲げ、ボート、ヨット、水上オートバイといった船艇展示に加え、マリン用品、各種サービス、さらには体験型プログラムやセミナーなどを組み合わせた複合イベントとして実施された。
展示内容では、主役の“船艇”に加え、周辺機器や推進システムの変化が顕著だった。出展製品数は合計273点で、内訳はボート100隻、ヨット15隻、水上オートバイ42隻などとなっている。その中でも特に増加が目立ったのが電動エンジンで、出展数は64基と前年の30基から倍増しており、マリン分野における電動化の進展を強く印象付ける結果となった。
本記事では、パシフィコ横浜会場の各ブース展示製品から小型船舶における技術動向を中心に紹介する。
トヨタ自動車のマリン事業は、プレジャーボートの製造にとどまらず、自動車分野で培った統合制御技術やHMI(ヒューマンマシンインタフェース)の知見を応用し、「誰でも扱える操船系」の実現を志向している。展示では、エンジン、操舵(そうだ)、推進、周辺センサーを統合的に制御することで、操船者の負荷を低減し、安全性と再現性の高い操作環境を構築するソリューションを訴求していた。
今回の展示で示した「TOYOTA DOCKING SUPPORT PLUS」は、こうした統合制御コンセプトに基づく離着岸支援システムで、低速域での姿勢制御や推力配分を自動化することで、経験に依存しがちな操船技量の標準化を図るものだ。また「TM CAST」は、スマートフォンを用いた遠隔操船インタフェースで、従来の操舵系を拡張する形で、操船者視点の自由度と操船の直感性を高めている。
これらの技術は、熟練度依存の強い操船において、制御技術とコネクテッド機能を組み合わせることで、初心者でも一定レベルの操船を可能にするアプローチといえる。自動車分野に置き換えるとADAS(先進運転支援システム)やドライブバイワイヤの延長線上に位置付けられるだろう。
ホンダのマリン事業は「誰でも扱いやすく、高効率で信頼性の高い推進システム」をキーワードに据え、自動車と汎用機で培ったエンジン技術と電子制御を船外機へ展開している。同社では、操船を支えるのは推進力そのものだけでなく、その制御ロジックというコンセプトから、エンジン性能と操船支援機能を一体として設計している。
フラグシップ船外機「BF350」ではカットモデルも用意して内部構造を紹介するとともに、V型8気筒エンジンにVTEC機構を組み合わせることで、高出力と燃費性能を両立し、さらに「BLAST」(加速時トルク増強制御)や「ECOmo」(燃費最適制御)といった電子制御技術により、船体挙動に応じた最適な出力特性を実現したことを訴求していた。
加えて、操船サポート機能として、「オートマチックチルト」「トリムサポート」「クルーズコントロール」などが、それぞれ単体機能ではなく、エンジン制御と連動することで操船負荷の低減と安定した航行を実現する仕組みとして説明していた。
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