東武ファンフェスタに欠かせないのは車両だけではない。飲食サービスも充実している。事務所付近に露店が軒を連ねており、お昼時は長蛇の列ができる。近年はキッチンカーも出店し、メニューが豊富になった。
飲食のスペースも最大限確保している。事務所の1階を開放しているほか、付近に休憩車両(4両編成)を留置しており、ロングシートながらそこで和気あいあいと過ごす家族連れなどが多い。その先のステージにもベンチが用意されており、ステージイベントを見ながら飲食もできる。
東武ファンフェスタの2022・2023年開催時はコロナ禍の影響もあり、事前応募制にしてあらかじめ定員を決めていたが、2024年開催時は自由入場制に戻したこともあり、大盛況。来場者数16,328人を記録し、歴代3位を記録した。
ちなみに歴代1位は2018年開催時の約17,800人、2位は2019年開催時の約17,000人である。すなわち、15,000人以上が“大台”と見ていいようだ。
先述したとおり、東上線森林公園検修区のイベントは2014年11月16日(日曜日)を最後に途絶え、東武鉄道の車両基地イベントは東武ファンフェスタに実質集約された。実は2020年に復活を予定していたが、コロナ禍の影響で延期の末、中止となった。
その後、復活を望む声が多いこと、東上線を支えた人々に対する感謝の意として、2025年3月23日(日曜日)に「東上線 森林公園ファミリーイベント2025」を11年ぶりに開催する予定だ。前回開催時は自由入場制としていたが、今回は事前応募制、先着7,000人限定とした。
東上線に特急形電車が配属されていないので、車両撮影会は通勤形電車が集う。以前、私が客として来場した際は列車種別や行先の表示を小刻みに変えることでファンサービスに応えた。
東武ファンフェスタは“テーマパーク”に対し、東上線 森林公園ファミリーイベントは“狭いながらも楽しい我が家”といったところ。また、東武鉄道は東上線用の新型車両の開発を進めており、将来は9000系、9050系を置き換える予定なので、2026年以降の継続開催も御検討いただきたい。
そして、できることなら、東上線専属の9000系、9050系、50070系、50090系、東京メトロ13000系と18000系、東急電鉄2020系が東武ファンフェスタの車両撮影会に展示されることも期待したい。
【取材協力:東武鉄道】
岸田 法眼(きしだ ほうがん)
『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜てきされ、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄道の最前線に立つ他、好角家の一面も持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)、『大阪の地下鉄大研究』(天夢人刊)がある。また、『岸田法眼の旅、鉄道、プロ野球、大相撲などを幅広く語る』(フーミー刊)では、有料マガジンを毎月5回程度配信している。
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