東武ファンフェスタの魅力(1/3 ページ)

» 2025年02月10日 10時00分 公開
[岸田法眼MONOist]

 東武鉄道は例年12月第1日曜日に南栗橋車両管区(車両基地兼工場施設)で、東武ファンフェスタを開催している。関東地方の私鉄では最大級の車両基地イベントと言ってよく、“年末の風物詩”と化した。その魅力を御案内しよう。

12月第1日曜日開催のメリット

 東武ファンフェスタ最大の特長は例年12月第1日曜日に開催することだ。秋になると、鉄道事業者の多くで車両基地イベントが開催される。基本的に集客が期待できる土・日曜日の開催が多いなか、12月開催は異例と言える。

 12月第1日曜日の開催が多いのは、秋季は日光・鬼怒川の紅葉シーズンに入るため、特急を中心とした臨時列車が運転されているからだ。まさに書き入れ時で、日光線系統の特急形電車は稼働率が高い。加えて、開催しても、ほかの鉄道事業者の車両基地イベントと重なる可能性もあり、来場者数が伸びないことが懸念される。

 東武ファンフェスタが初めて開催されたのは、2005年10月2日(日曜日)。紅葉シーズンに入る前の開催で、車両撮影会には特急〈りょうもう〉にゆかりのある車両が集結した。

 2006年から2009年までは11月に開催。極力、下旬の日曜日に開催することで、車両撮影会の展示車両に特急形電車を入れるよう努めてきた。しかし、2009年は紅葉シーズン中の11月8日(日曜日)に開催されたため、車両撮影会の展示車両は通勤形電車のみという展開となった。

 2010年、初めて12月第1日曜日の開催となった。その後、新型車両の登場、レールファンの人気が高い8000系8111編成(前面スタイルが原形を保つ唯一の車両で、現在は東武博物館保有の動態保存車)が車両撮影会の“常連”に加わったことで、展示車両が充実。来場者数も11,000人以上を記録した。

 以降、2017年開催時と2020・2021年の開催中止を除き、「12月第1日曜日」が定着し、レールファンや家族連れにとっては、“スケジュールが確保しやすい車両基地イベント”といえる。

シャトルバス

 最寄りの日光線南栗橋駅から南栗橋車両管区まで、徒歩約20分かかることもあり、東武バスの各営業所が無料シャトルバスとして応援に駆けつける。

 シャトルバスのみどころはデジタル方向幕の表示だ。東武ファンフェスタを盛り上げるため、特別な表示がされており、撮影する来場者が多い。また、往路よりも復路(南栗橋駅行き)の待ち時間が長いようである。余韻を楽しむにはちょうどいいだろう。

車両撮影会はラインナップが充実

 東武ファンフェスタ、最大の目玉は先述した留置線を会場とする車両撮影会だ。日頃、車両基地でも並ぶことがなさそうな車両を配しており、鉄道模型の世界が現実になったかのような雰囲気だ。特急形電車を中心に、東上本線(以下、東上線)所属の8000系、東急電鉄、東京メトロ、JR東日本の車両が展示されたこともある。

 既存の車両は可能な限り、リバイバルカラーや特別塗装車を充てるほか、新型車両についても、可能な限りルーキーイヤーに展示する方針をとっており、彩り豊かな構成で撮影者を魅了する。2025年開催時は野田線用の新型車両80000系が展示されるだろう。

 2024年は左から10030系、500系リバティ、N100系スペーシア X、100系いちごスペーシア、200系りょうもう『カルピス』EXPRESS、8000系8111編成が並んだ。

 さて、2005年の開催開始当初は自由に出入りできたが、年々来場者数が増えたこともあり、2012年開催時から15分ごとの入れ替え制を実施。さらに臨時列車〈東武ファンフェスタ号〉(現在は乗車駅から南栗橋車両管区まで直送のイベント列車)の乗客に限り、優先撮影権をつけた。

 2024年開催時では、臨時列車〈東武ファンフェスタ号〉の乗客、東武鉄道公式ファンクラブの会員、一般の来場者、と~ぶキッズの順に細分化。特に後者は家族連れ向けで、保護者にとっては子供と車両を組み合わせた記念撮影がしやすくなった。「ラインナップ」は車両だけではなく、撮影者にも広がったのである。

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