東武特急の在り方を変えた「N100系スペーシア X」は新技術満載鉄道大研究(2)(1/4 ページ)

2023年7月にデビューした東武鉄道の特急列車「N100系スペーシア X」がブルーリボン賞を受賞した。受賞式の模様や、新技術をふんだんに取り入れたN100系スペーシア Xの魅力をお伝えする。

» 2024年11月26日 07時00分 公開
[岸田法眼MONOist]

「浅草からここ(東武日光)まで、スペーシア Xに乗って、ワクワクワクワクとして、この贈呈式に臨むことができました。
(中略)
こんなワクワク感を持って、贈呈式に臨んだのは初めてでございます」

東武日光駅で行われたフォトセッション 東武日光駅で行われたフォトセッション[クリックで拡大]
〜ひとを結ぶ。時を結ぶ。感動を結ぶ。〜新型特急車両N100系SPACIA Xブルーリボン賞受賞式 THE MOVIE[クリックで再生] 出所:YouTubeチャンネル「岸田法眼の情熱系現場主義」

 2024年10月27日(日曜日)、東武鉄道(以下、東武)日光線東武日光駅で開催されたN100系スペーシア Xの鉄道友の会ブルーリボン賞受賞式で、同会 会長の佐伯洋氏の声が弾んだ。それだけ何度見ても魅力的な車両に映るのだろう。受賞式の模様やN100系スペーシア Xの魅力をお伝えしよう。

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1年3カ月で70万人が乗車

 鉄道友の会ブルーリボン賞は前年デビューの新型車両(ジョイフルトレインなど、大幅に改造された車両も含む)を対象に、最優秀車両を会員の投票で決める。プロ野球に例えるなら新人王といったところ。映画のブルーリボン賞、プロ野球のMVPや新人王とは異なり、記者投票がない。

 選考委員長の尾藤千秋氏によると、N100系スペーシア Xは支持率62.3%の第1位で、ブルーリボン賞に選定されたという。ちなみに東武がブルーリボン賞を受賞するのは、1991年の100系スペーシア以来、33年ぶり2回目。

N100系スペーシア X N100系スペーシア Xは2019年から約3年半かけて設計され、2023年にお目見えした[クリックで拡大]

 N100系スペーシア Xは2023年3月に登場し、7月15日(土曜日)にデビュー。1990年に登場した100系スペーシアに代わるフラッグシップ車両で、2024年春までに4編成が投入された。

「昨年(2023年)の7月15日、デビューして以来、1年3カ月がたちましたが、70万人を超えるお客さまに御利用いただいており、現在、大変な人気を博しているところでございます」

 受賞式では、東武鉄道 社長の都筑豊氏がN100系スペーシア Xの受賞について、幸せや喜びをかみしめた。東武特急の浅草−北千住間はガラガラな列車が多い中、N100系スペーシア Xは始発駅の浅草から活気がある。しかも2017年4月21日(金曜日)以降、閉鎖された5番線を改装し、専用ホームに充てたことで特別な雰囲気を演出した。

 その甲斐もあり、始発から終点までN100系スペーシア Xの旅を楽しみたい人が多いようだ。2024年10月27日(日曜日)の日光線上り特急は空席ありの列車が多い中、N100系スペーシア Xは全列車満席。1日6往復という少なさもあり、人々に“プレミアム感”が高い印象を与えた。

 N100系スペーシア Xのブルーリボン賞受賞を記念し、車体側面に記念のロゴを披露。また、車内の“お約束”であるブルーリボン賞のプレート掲示は、東武側の希望でN100系スペーシア Xの意匠を凝らしたエクステリアに合うデザインとなり、ブルーリボン賞に新風を吹かせた。

ブルーリボン賞受賞記念ロゴは1年間掲出の予定(左は佐伯洋氏、右は都筑豊氏) ブルーリボン賞受賞記念ロゴは1年間掲出の予定(左は佐伯洋氏、右は都筑豊氏)[クリックで拡大]
6号車に掲示されたブルーリボン賞のプレート 6号車に掲示されたブルーリボン賞のプレート[クリックで拡大]
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