　環境意識が世界的に高まる中、食品などの包装材でも、リサイクル原料や植物由来原料を使用した環境配慮型製品の需要が高まっている。一方で、耐熱性や加工適性などさまざまな性能が要求される包装用フィルムは、異なる特性／特徴を持つ複数の素材を貼り合わせて設計されることが一般的だ。そのため、リサイクルの際に複数の素材をを分離するのが困難という課題がある。

　こういった状況を踏まえて、東洋紡はパイレン EXTOP XP311を開発した。パイレン EXTOP XP311は、同社の製膜技術を駆使することで耐熱性と接着性を向上している。高い耐熱性により、ヒートシール（熱接着）など高温処理が必要な工程においてフィルムの熱収縮率を低減し、熱シワの影響を抑えられるため、包装材の見栄えを損なわない。

「パイレン EXTOP XP311」［クリックで拡大］出所：東洋紡

　また、優れた接着性により、複数のフィルムを貼り合わせる際に、一般的な包装用PETフィルムと同等レベルのラミネート強度を実現した。これにより、従来のOPPフィルムでは難しかったPETフィルムの代替が可能になり、包装材のモノマテリアル化の実現に貢献する。さらに、パイレン EXTOP XP311は、業界最薄レベルの16μmの厚みやOPPとしての比重の軽さにより、プラスチック使用量の削減（減容化）にも役立つ。

　東洋紡は長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」において、2030年度にフィルムのグリーン化比率を60％とすることを目標に掲げている。

　同社はこれまでも、バイオマス原料を使用しながら従来のフィルムと同等の物性を有するフィルム「バイオプラーナ」、ペットボトル由来のリサイクル樹脂を80％以上使用した包装フィルム「サイクルクリーン」や従来品より50％の減容化を実現した薄肉タイプのシュリンクPETフィルム「スペースクリーン」など、さまざまな環境配慮型製品を上市してきた。

　食品包装用途の主流素材であるPPを原料とするフィルムの高機能化にも取り組んでおり、従来のPPが持つ防湿性／透明性や腰の強さなどを維持しながら、厚みを約20％薄くすることでプラスチック使用量の削減に貢献する「パイレン EXTOP シリーズ」を2022年に提供開始した。

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