東洋紡は、同社が開発した「神経再生誘導チューブ」を、人工神経の世界市場の約7割を占める米国市場へ積極展開する。Synovis Micro Companies Allianceと連携し、米国で開催する学会を通じて販促活動を推進する。
東洋紡は2022年4月14日、同社が開発した「神経再生誘導チューブ」を、人工神経の世界市場の約7割を占める米国市場へ積極展開することを発表した。医薬品医療機器大手のBaxter Internationalのグループ会社Synovis Micro Companies Alliance(シノビス)と連携し、米国で開催する学会を通じて販促活動を推進する。
同製品は、ケガなどにより断裂や欠損した末梢神経において、神経再生を誘導して機能を再建するために使用する。ポリグリコール酸製のチューブ内にスポンジ状のコラーゲンを充填しており、断裂した神経が再建するための環境、足場を提供する。コラーゲンのスポンジ状構造は、神経細胞の増殖にも有効に働く。
治療過程において、自家神経移植のように患者の健常な部位を傷つける必要がなく、手術時間を短縮できる。また、海外では合成素材を用いた人工神経として吸収性神経誘管を使用するが、体内での分解時に炎症反応を起こす事例が報告されている。一方、神経再生誘導チューブは、現状ではそのような報告はない。
既に、同年1月11日に開催された米国手外科学会、米国末梢神経学会、米国マイクロサージャリー学会の3学会合同大会において、シノビスと共同で同製品を紹介するなど販促活動を開始。同社は2025年までに生産能力を約3倍に高めるほか、臨床適用領域の拡大にも努めるとしている。
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