京都大学と三洋化成工業は共同で、慢性創傷を治療するため、人工タンパク質を用いた新規治療材料「シルクエラスチンスポンジ」を開発した。企業内治験を実施し、新規医療機器の承認取得を目指す。
京都大学は2020年1月22日、慢性創傷を治療するため、人工タンパク質を用いた新規治療材料「シルクエラスチンスポンジ」を三洋化成工業と共同開発したと発表した。下腿難治性皮膚潰瘍(かいよう)を対象とした同大学医学部附属病院での治験を経て、同年1月〜2022年3月の期間で企業内治験を実施し、新規医療機器の承認取得を目指す。
人工タンパク質のシルクエラスチンは、水溶液の状態で37℃にあたためると、タンパク質の構造が変化してゲル化する。動物実験では、シルクエラスチンゲルによる創傷の治癒促進効果が確認されている。
そのため、シルクエラスチンをスポンジ状に加工したシルクエラスチンスポンジを作製。これを皮膚の傷に貼付したところ、傷から出る体液でシルクエラスチンスポンジが溶けて傷の表面でゲル化し、創傷の治癒を促進する効果が認められた。
2018年に実施した下腿難治性皮膚潰瘍患者を対象にした治験では、重症度の高い有害事象や治験機器の不具合はなく、安全性を確認できた。この結果を基に、今後は三洋化成工業が中心となり、シルクエラスチンスポンジの有効性を検証する企業内治験を実施し、新規医療機器の承認取得と4年以内の事業化を目指すとしている。
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