東洋紡は、医療機器製品として国内で販売している神経再生誘導チューブ「ナーブリッジ」について、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表した。今後の事業拡大を視野に、国内の製造設備能力も増強したという。
東洋紡は2016年6月27日、医療機器製品として国内で販売している神経再生誘導チューブ「ナーブリッジ」について、同月22日に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表した。
ナーブリッジは、外傷による断裂、欠損した末梢神経の再生を促進する日本で最初の治療用医療機器だ。神経再建治療として行われる「自家遊離神経移植」において、患者自身の健常部位の神経を採取する必要がないため、患者の負担を大幅に軽減する。また、ポリグリコール酸と医療用コラーゲンという、生体内で分解される材料で構成されており、約3カ月で分解し、体内に吸収されて消失する。
2013年3月に厚生労働省より製造販売承認を取得して以来、400を超える医療機関がナーブリッジを使用してきた。その適用症例数は1500症例を超えるなど、優れた有効性と高い安全性を示す結果が得られているという。
海外については、アメリカでの展開を目指しFDAの承認取得のための手続きを進めてきた。そして今回、FDAの承認取得に至った。アメリカで既に販売されている他社製品は、20mm以上の神経欠損には適用できないという見解があるのに対して、ナーブリッジは50mmまでの神経欠損に対しても適用できる。
また、同社は今後の事業拡大を視野に、総合研究所(大津市)内で製造設備の能力を増強した。投資金額は約10億円で、海外向け販売を想定した品質保証体制を整えている。
今後は、アメリカでの販売に向けてパートナーを選定するなど、アメリカ国内での拡販に努めるとともに、欧州やシンガポール、台湾への展開も検討しており、2020年には海外での売上高20億円を目指すとしている。
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