今回は、タブレット端末やXRを活用しての3D CADの操作/モデリングについて、MONOistの記事を中心に筆者が情報収集した内容をお届けしました。マウスなしで3D CADを操作するのが当たり前になる時代が来るのは、まだ先の話かもしれませんが、3Dデータの確認や検証をタブレット端末で行っている人は既に多くいらっしゃるかと思います。PCとタブレット端末のハイブリッドな活用と同じように、XR空間での3D CAD利用も少しずつ浸透していくのではないかと筆者は考えます。
また、今の子どもたちは学校の授業などで当たり前のようにタブレット端末を使用しているので、マウスやキーボードではなく、タッチやペン操作(タブレット端末)で3D CADを使いたいというニーズも今後増えていくのではないかと予想されます。今の若い人たちの多くは、キーボードで文字入力するよりも、スマートフォン(以下、スマホ)のフリック入力の方が早く、使いやすいそうです。ひょっとしたら、タブレット端末どころか、スマホで3D CADを操作する時代が来るかもしれませんね。
3D CADを操作するデバイスの選択肢が増えていけば、いろいろなスタイルで設計作業ができるようになります。例えば、入力はスマホで行い、形状の確認などは大きなディスプレイやタブレット端末、あるいはXR空間で行うなど、さまざまな展開が可能になります。そんな時代が何十年も先ではなく、近い将来訪れるのではないかと筆者は考えます。設計部のメンバー全員がマウスを持たず、スマホやタブレット端末、XRで設計している未来の風景を想像すると、ワクワクしてきますね。
筆者が初めてMONOistに寄稿した記事は「設計者も喫茶店でノマドする時代、来る? 場所にしばられない仕事を実現する技術」でした。もしかしたら、“喫茶店でPC”ではなく、タブレット端末やXRで設計業務をする人が出てくるかもしれません。タブレット端末とペンの組み合わせであれば違和感はありませんが、ヘッドセットを装着して身体を動かしている人がいたら、さすがにギョッとしてしまいますね。でも、未来のことは誰にも分かりません。もしかしたら、それも日常の風景になっているかもしれませんよ。
技術の進歩によって設計ツールが変わることは、設計者からすると喜ばしい半面、大変なことでもありますが、ネガティブに考えるのではなく、ぜひ時代の変化/設計ツールの進化を楽しみながら、ご自身の業務に積極的に取り入れていただけたらと思います。 (次回へ続く)
小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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