2024年1月に、ソニーがビデオシースルー機能を搭載した高品質XRヘッドマウントディスプレイ(XR HMD)と、3Dオブジェクトの直感的な操作と正確なポインティングを実現するインタラクション専用コントローラーを組み合わせた「没入型空間コンテンツクリエーションシステム」を発表しました。
ソニーは、3D CADを開発提供しているSiemens(シーメンス)と提携し、オープンデジタルビジネスプラットフォームである「Siemens Xcelerator」の新しいソフトウェア「NX Immersive Designer」を使用した、XR空間での没入型デザインおよびコラボレーションエンジニアリング(イマーシブエンジニアリング)のための環境を提供するとしています。
公開されているYouTube動画を見てみると、3DモデルをXR空間で作成し修正している様子を確認できます。
他にも、過去に公開された「Microsoft HoloLens」のYouTube動画にも、XR空間で指を動かしながら3Dモデルを作成し、修正している様子の映像が公開されています。
筆者は展示会で少しだけ体験したことがある程度で、操作性などまで細かく確認できていませんが、今後の開発が非常に楽しみな技術の一つです。
XR空間で3Dモデリングを行うようになるのはまだ先の話かもしれませんが、3Dデータの確認や検証についてはXR空間で行われつつあるようです。NTTコミュニケーションズは2024年3月に、XR空間に3D CADやBIMで作られた3Dモデルを投影しながら、複数人で会議や共同作業が行える「NTT XR Collaboration」の提供を開始しています。
XR空間に投影された3Dモデルに対して、3D部品の取り外しやモデル断面の確認、特定箇所のマーキング、寸法計測などが行えるようです。実寸大モデルがXR空間に3D表示されるため、直観的にイメージが伝わる他、設計初期から組み立て性やメンテナンス性などを検証できます。
2024年1月にアイブリッジが公表した「VRに関する調査―最新機器とサービス全般への興味・関心―」の結果レポートによると、「VRを使ったことがない」が82.78%を占めており、VRの活用はまだ一般的とは言い切れない状況にありますが、筆者は今後活用が増えていくと思っています。同レポートの中で、VRを現在利用している人を対象に「これからもVRを使用していくか」を聞いたところ、88%が「これからも使っていく」と回答しています。“一度使い始めればVRの良さが分かる”ということでしょうか。VRを使用するのが当たり前の時代が来ることを期待しています。
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