有限要素法入門 〜要素剛性マトリクスの導出〜CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(4)(3/7 ページ)

» 2024年05月20日 09時00分 公開

 連載第3回で説明した「変位−ひずみマトリクス[B]」と「応力−ひずみマトリクス[D]」を使って、仮想変位のひずみ、本当のひずみおよび本当の応力は次式で表されます。

式19 式19

 式18右辺に、式19を代入します。

式20 式20

 転置マトリクスの公式を使います。次式です。

式21 式21
式22 式22

 {δ*}T、{u}、hは座標(x,y)の関数ではないので積分の外に出します。

式23 式23

 上式を使うと式18は次式となります。

式24 式24

 {δ*}Tを取り除き、左辺と右辺を入れ替えます。

式25 式25

 式11を再掲します。

式11(再掲) 式11(再掲)

 式25式11を見ると、要素剛性マトリクスは次式で求まります(参考文献[1])。

式26 式26

 3次元問題の場合は次式となります。

式27 式27

 何だか狐につままれた感じで要素剛性マトリクスが導けました。式26式27は1次要素、2次要素でも同じです。以上で有限要素法の説明は終わりです。「レーレー法」の説明を除くとA4用紙20ページちょっとになりました。これで有限要素法プログラムが作れるはずです。

 仮想仕事の原理がピンとこないときは、「エネルギー最小の原理」からでも要素剛性マトリクスが導出できます(参考文献[2])。手順は長いですがしっくりくるかと思います。

 式26は2次元平面応力要素ですが、これに板の曲げ理論を追加すると初期の3次元シェル要素になり、3次元解析が可能になります。かつては3次元ソリッド要素よりもシェル要素の方が出番が多かったと思います。

参考文献:

  • [1]三好|有限要素法入門|培風館(S53)
  • [2]戸川|有限要素法概論|培風館(S56)

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