2030年のバイオマス系/生分解性粘・接着剤市場規模は1.4兆円、2022年比2.3倍製造マネジメントニュース

富士経済は、環境対応が進む粘着剤、接着剤の世界市場に関する調査結果「2024年 粘・接着剤市場の将来展望」を発表した。2030年のバイオマス系/生分解性粘・接着剤の世界市場は95億ドルで、2022年比2.3倍の成長を見込む。

» 2024年04月01日 11時00分 公開
[MONOist]

 富士経済は2024年3月15日、環境対応が進む粘着剤、接着剤の世界市場に関する調査結果「2024年 粘・接着剤市場の将来展望」を発表した。2030年のバイオマス系/生分解性粘・接着剤の世界市場は95億ドル(約1兆4000億円)で、2022年比2.3倍の成長を見込む。

バイオマス系/生分解性粘・接着剤の世界市場 バイオマス系/生分解性粘・接着剤の世界市場[クリックで拡大] 出所:富士経済

 バイオマス系/生分解性粘・接着剤は、他の粘・接着剤と比較して価格が高いが、製品のパッケージやタグにバイオマスマークなどを記載できる。環境対応やブランドイメージ向上につながり、アパレル、包装、ラベルで採用が拡大している。また、コストアップを吸収できるため、エレクトロニクス分野の高付加価値製品でも採用が進んでおり、2023年の同市場は41億ドル(約6200億円)を見込む。

 エレクトロニクス分野は、付加価値の高い完成品が多く、採用先の大手スマートフォンメーカーの環境意識も高い。2026年以降はエレクトロニクス向けが大きく伸長し、2030年の同市場は2022年比2.3倍になると予測する。

 日本では、粘着付与樹脂やエレクトロニクス向けのモノマーにバイオマス原料が使われており、需要が伸長。スマートフォン向けの電子部材用粘着シートなどでも採用が拡大している。一方で、自動車やラベル、軟包装向けは、世界で採用が進むものの、日本では価格重視の傾向から大幅な伸長は2030年以降になると予想する。

 粘・接着剤の形態別に世界市場を見ると、反応形接着剤は自動車の生産台数の増加により2023年は100億ドル(約1兆5000億円)を見込む。電装化やEV化を背景に今後も自動車向けが伸長し、2030年は127億ドル(約1兆9000億円)と予測する。

 ホットメルト形接着剤は、EVA樹脂系ホットメルト接着剤を使った段ボールの需要が増加。新興国を中心に、エラストマー系ホットメルト接着剤を使うベビー用の紙おむつの需要も増加傾向にあり、2023年の同市場は76億ドル(約1兆2000億円)を見込む。今後もこの傾向は継続し、2030年は99億ドル(約1兆5000億円)を予想する。

 感圧形粘着剤は、物流の回復からOPP粘着テープの需要が拡大し、2023年の同市場は66億ドル(約1兆円)となる見込みだ。今後は、東南アジアでの食品包装需要の増加などから、2030年は77億ドル(約1兆2000億円)を予測する。

 注目市場として、変成シリコーン系接着剤やエラストマー系ホットメルト形接着剤、シリコーン系溶剤形粘着剤を挙げる。反応形接着剤の変成シリコーン系接着剤は、欧州などの環境規制強化や中国の健康被害防止の観点から今後も採用が増加。エラストマー系ホットメルト形接着剤は、用途の90%が紙おむつなどの衛生材料向けで、今後も需要の高止まりが予想される。

 感圧形粘着剤のシリコーン系溶剤形粘着剤は、2023年はスマートフォンの出荷台数の減少からエレクトロニクス向けが減少したものの、自動車生産の回復や車載ディスプレイの大型化などから自動車向けは伸長した。今後、自動車向けの伸長に加え、エレクトロニクス向けでも一定の需要を維持するとみられ、2023年と同様に2030年も2億ドル(約300億円)を維持する見込みだ。

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