月面で3Dプリント部品の材料性能試験を実施、Stratasysが今後の月ミッションで:3Dプリンタニュース
Stratasysは今後の月ミッションに3Dプリンタで造形されたサンプル部品を提供し、月面で材料性能を試験する。サンプル部品は同社が造形したキャリア構造で保護され、無人着陸船によって月面に運ばれる。
Stratasys(ストラタシス)は2024年3月19日、今後の月ミッションに同社が3Dプリンタで造形したサンプル部品を提供し、月面で材料性能を試験すると発表した。サンプル部品は同社が造形したキャリア構造で保護され、無人着陸船によって月面に運ばれる。
今回の試験は、Aegis Aerospaceとして初となる宇宙科学技術評価施設ミッション(SSTEF-1)の1つとして実施される。SSTEFはNASA(米国航空宇宙局)のプログラムの下で、Aegis Aerospaceが開発した商業的な宇宙試験サービスで、月面での研究開発環境を提供する。SSTEF-1プロジェクトは、月と地球近傍の宇宙インフラと、機能の技術開発に重点を置いている。
3つの材料に注目する実験を2つ実施する。最初の実験では、タングステンを充填(じゅうてん)したストラタシスのAntero 800NA FDMフィラメントで製作したサンプル部品の性能を評価する。タングステンは、ガンマ線やX線などの有害放射線に対する遮蔽(しゃへい)を目的に添加している。PEKKベースの高性能熱可塑性樹脂であるAntero 800NAは、優れた機械的特性、耐薬品性、低アウトガス特性を備えている。
FDM Antero 840CN03材料で作られた放射線実験用ハウジングと、輸送および設置中の保護を目的とするUTLEM 9085 レッド材料で作られたカバー(REMOVE BEFORE FLIGHTと記されている) 出所:Stratasys
2つ目の実験では、Antero 840CN03 FDMフィラメントを使用し、宇宙空間で3D造形物の材料がどのような性能を発揮するかを確認する。Antero 840CN03 FDMフィラメントは、電子機器に使用するためのESD特性を備えており、無人宇宙船「オリオン」で使用された実績がある。また、この実験では、ストラタシスのOrigin One 3Dプリンタ向けにHenkelが高熱環境用に設計、製造したESDフォトポリマーも含まれている。実験では、ちり、アウトガスの原因となる低圧、急激な温度変化が生じる月面環境に各3Dプリンタ材料で造形したサンプル部品をさらし、材料性能を評価する。
FDM Antero 840CN03材料で作られた放射線実験用ハウジング。FDM Antero 800NAタングステン充填材料(濃い灰色)とSL Somos PerFORM材料(白色)を含む放射線遮蔽試験用サンプルが収納されている 出所:Stratasys
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