電子情報技術産業協会は、「日米デジタル経営調査」の結果を発表した。米国企業と比較して、日本企業がDXやデジタル経営への取り組みで遅れを取っていることが浮き彫りになった。
電子情報技術産業協会(JEITA)は2024年3月6日、「日米デジタル経営調査」の結果を発表した。IT投資が増える理由として、日本企業は主に効率化やセキュリティ対策など「守りのIT投資」を挙げたが、米国企業は会社規模の拡大や顧客行動、市場分析の強化といった「攻めのIT投資」を比較的多く挙げていることが分かった。
同調査は2023年10〜11月にIDC Japanと共同で実施し、日本257社、米国300社の回答を得た。
調査によると、米国企業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタル経営への継続的な取り組みや、事業への本格導入を実施している割合が半数を超えた。一方で、日本企業は、情報収集や検討を進めている段階という回答が多く、米国企業には見られなかった「行っていない」という回答も1割強存在した。
デジタル人材の確保や育成は、日本企業では既存の従業員への教育が中心となっている。一方で、米国企業は新規採用や大学、スタートアップとの連携が目立つ結果となった。
また、日本企業においてDX、デジタル化を実践している業務プロセスは、間接業務や人事業務、社内情報共有、営業、販売、マーケティングといった分野が多かった。
日本企業がDXやデジタル経営を進めるにあたって重要だと考える組織文化としては、「組織横断の連携がしやすい」が最多となった。DXの長期戦略を立てている、またはDXとビジネス戦略を一体化している企業からは、「多様性を受け入れる姿勢」「顧客や市場を中心に考える姿勢」「データの蓄積や調達、活用に積極的」などといった回答が多く挙がっている。
これらの結果を受けてJEITAは、デジタル経営に取り組む日本企業に向けて、デジタル経営への理解を深めることや日本企業の実態に即した人材施策と組織変革を進めることを提言し、さらに「米国企業だからできる」という考え方を捨てるべきだと指摘した。
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