3DEXPERIENCE World 2024でたくさんの刺激を受けた筆者は、あらためて自身が目標とする設計開発環境、製造環境の在り方について考えてみました。
まず、筆者自身に今求められていることを整理してみました。
そして、これらを実現するためにどうすべきか、次のことを考えました。
これらを設計開発フローに落とし込んだ際の実現イメージが図2となります。
図2のイメージ図の中には、以下の概略が含まれています(優先順位の高いものを太字記載)。
図2のイメージ図の内容を全て一度に行うことは、リソースのある企業でも難しいかもしれません。ただ、先ほど紹介したQARGOSのようなスタートアップ企業が実践できていることを考えると、多岐にわたる事業を行う大企業よりも、中小企業の方が実践しやすく、結果も得やすいといえるかもしれません。筆者としては、全体像を俯瞰した上で、設計開発フェーズを第1優先に考え、アジャイル的にこの全体像を構築すべきだと考えています。
そして、エンジニアは最新のデジタル環境を使い仕事を行うべきだと考えます。勘や経験、ノウハウといったアナログ情報でさえもデジタル化され、それらがプラットフォーム上でデータとして共有、可視化されることは、競争力の強化につながるからです。
また、こうした取り組みを進めていくと、設計や製造の考え方の標準化や、品質管理も進むはずなので、あえて個別に品質管理マネジメントシステムを検討する必要はないと考えます。なぜなら、プラットフォームを軸としたデジタルによる仕事の流れそのものが、そうした機能を担ってくれるはずだからです。
最後に、デジタルおよびプラットフォーム活用を通じて目指すべき姿、理想像を、Cost、Delivery、Partner、Qualityの4つの視点でまとめたいと思います。
単にツールを導入してデジタル化やプラットフォーム活用を実現することがゴールではなく、目指すべき姿の実現、目標を達成するための手段としてデジタル化やプラットフォーム活用を検討すべきだと考えます。筆者の今回の記事だけでなく、MONOist編集部からも3DEXPERIENCE World 2024のレポート記事が多数掲載されています。これを機に、自社の設計開発環境の今を見つめ直し、これから(未来)について考えてみてはいかがでしょうか? (次回へ続く)
3D推進者が見た「3DEXPERIENCE World 2023」(設計の未来編)
【ケース1】どうする!? 3D CADデータの管理
JIS製図って何ですか!? 設計意図を伝える「正面図」の重要性
設計者はどんな視点で設計者CAEを進めていくべきか【ケース1:構造物の強度解析】
公差がなぜ今必要なのか? 本当は日本人が得意なことのはず
データムはどうやって決めるの? 3D CADで考えようCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
メカ設計の記事ランキング
よく読まれている編集記者コラム