ダッソー・システムズの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2025」の基調講演に登壇したDassault Systemes Mainstream Innovation & CRE担当 シニア・バイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏と、同社 SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当 バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏の講演内容を紹介する。
ダッソー・システムズは2025年11月14日、国内向け年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2025」を東京都内で開催した。本稿では、基調講演に登壇したDassault Systemes Mainstream Innovation & CRE担当 シニア・バイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏と、同社 SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当 バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏の講演内容をダイジェストで紹介する。
バッシ氏は冒頭、「SOLIDWORKS」が市場シェア、ユーザー数、売上高のいずれにおいても堅調な成長を続け、製造業をはじめとする多様な産業に広く浸透していると紹介した。同時に、「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を通じて顧客の製品開発やビジネス拡大を支援することが同社の使命であると述べ、創造的活動によって生み出される知的財産(IP)を守るため、サイバーセキュリティを中心とした大規模投資を継続していることにも触れた。
現在のSOLIDWORKSは、「3DEXPERIENCE Works」ポートフォリオによって、設計にとどまらず、シミュレーション、製造、データ管理、営業やマーケティングといった幅広い領域へ活用が広がっている。バッシ氏は「現在のSOLIDWORKSが提供する価値は、人、アイデア、データ、ソリューションを同一のプラットフォームで結び付け、常に最新で安全かつ追跡可能な状態で、全てのステークホルダーが必要な情報にアクセスできる点にある」と説明した。
また、SOLIDWORKSと3DEXPERIENCEプラットフォームの連携により実現する“バーチャルツイン”の重要性にも言及した。バーチャル環境での製品開発や工場レイアウトの検討に加えて、人体のバーチャルツインを用いた医療デバイスの設計、手術計画の立案、手術室環境の再現といった医療分野への応用が進んでいることも紹介した。
1995年に最初のバージョンがリリースされてから、2025年で30周年を迎えるSOLIDWORKSは、長年にわたり世界中のユーザーと強固な関係を築いてきた。バッシ氏は、その背景として「ブランドの力」「イノベーションの力」「エコシステムの力」という3つの柱を挙げた。
ブランドの力について、バッシ氏は「学生や起業家を含む800万人ものユーザーとともに歩んできた長い歴史が強いストーリーを形成しており、それがSOLIDWORKSブランドの価値を支えている」と説明した。同社は世界中のスタートアップや教育機関を対象とした支援プログラムを展開している他、FabLabとの連携によって発展途上国での技術普及にも取り組んでいる。
イノベーションの力については、ダッソー・システムズが有するマルチスケール、マルチフィジックス、マルチドメインの広範なシミュレーション技術を例に挙げ、バッシ氏は「こうした先進技術をSOLIDWORKSユーザーが利用しやすい形で提供し、製品開発におけるあらゆるワークフローに組み込めることが強みである」と述べた。
また、AIについても早期から取り組んでおり、バッシ氏は「Smart Mates(スマート合致)などの操作効率を高めるAIベースの支援機能は以前から導入されてきた」と説明した。さらに、AI技術の成熟に伴い、自動化や共創を含む多様なAI機能が実装されつつあり、それらを統合するバーチャルコンパニオン「AURA」の存在にも触れた。
そして、エコシステムの力について、バッシ氏は「世界800万人のユーザーに加え、450社以上のパートナー企業がSOLIDWORKSの普及と発展を支えてきた」と述べ、これらのパートナーとの協業がグローバル展開を支える戦略の中心であり、「この強力なチャネルを未来に向けてさらに成長させていく」(バッシ氏)と強調した。
講演の最後、バッシ氏は「SOLIDWORKSは30歳を迎えたが、次の30年を切り開くための戦略は既に整っている。ユーザーが未来を創造する上で最も信頼できる存在であり続け、皆さんの夢の実現を全力で支援する」と締めくくった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
メカ設計の記事ランキング