ネクスティ エレクトロニクスとジーデップ・アドバンスは自動車などモビリティ業界向けにAI開発でNVIDIAの最新GPUを試せるPoC環境提供サービス「GPU Advanced Test drive」の展開を開始すると発表した。
ネクスティ エレクトロニクスとジーデップ・アドバンスは2024年2月26日、自動車などモビリティ業界向けにAI(人工知能)開発でNVIDIAの最新GPUを試せるPoC環境提供サービス「GPU Advanced Test drive」の展開を同年4月1日から開始すると発表した。大手クラウドベンダーのオンデマンド料金の半額から利用できるという。
モビリティ業界では、自動運転システムの認知、判断、行動の各工程や、インフォテインメントシステム、バッテリーマネジメントなど製品に搭載する機能に加えて、開発や製造でもAI活用が求められている。これに伴い、AI開発のインフラとなるGPUサーバ市場はグローバルで急拡大している。
クラウドベンダーの計算リソースを利用するだけでなく、自社でGPUサーバに投資してオンプレミスで計算力を確保するモビリティ関連企業が欧米で増加しているが、日系企業の投資規模はそれほど伸びていないのが現状だ。
クラウドベンダーのサービスの利用料金は従量制のため、「使えば使うほどコストがかかる。AI開発で扱うデータ量が大きくなっていく中で、サービスを利用する企業にとっては不利な状況だ。クラウドでの計算の待ち時間も長くなっていると聞いており、オンプレミスに投資することも視野に入ってくるだろう。最新GPUを試して計算の速さや開発期間短縮への貢献を把握しておけば、投資判断もしやすくなる」(ネクスティ エレクトロニクス 代表取締役社長の柿原安博氏)
GPU Advanced Test driveは、オンプレミスへの投資の判断材料が欲しい企業や、計算リソースの選択肢を増やしたい企業の他、シミュレーションなど開発ツールの性能を示したいツールベンダーなどに向けて提案していく。このため、GPU Advanced Test driveでは画像認識技術、Transformerなど大規模言語モデル(LLM)、デジタルツインやドライブシミュレーター、高精度なCAEなどさまざまな用途に向けてNVIDIAの最新GPUを用意する。
NVIDIAのDGXシステムのリリースに合わせてGPU Advanced Test driveで利用できる検証環境も継続的にアップデートする。また、ハードウェアだけでなく「NVIDIA AI Enterprise」などソフトウェアスタックの検証環境も提供する。GPU Advanced Test driveでは仮想環境を用いないベアメタル物理サーバを一定期間占有で利用でき、高セキュア回線のデータセンターで運用することから機密情報のアップロードにも対応する。1週間単位で1ノードごとに占有可能で、利用期間は最長6カ月としている。最初の1週間は無料とする。
GPU Advanced Test driveの提供に当たっては、ネクスティ エレクトロニクスが問い合わせの窓口やデータセンターの運営などを担当する。ジーデップ・アドバンスはNVIDIAのDGXシステムやソフトウェアの調達や導入とGPUアクセラレーテッドAIシステムの設計や構築、これらの運用支援を行う。
また、データセンターの電力消費の大きさを踏まえ、ネクスティ エレクトロニクスの親会社である豊田通商グループの再生可能エネルギー事業を生かしたグリーンコンピューティングセンターの立ち上げも目指す。国内外のツールベンダーとの協業も加速させる。
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