ThreadX Interest Groupの目的は以下の6つとなっている。
ちなみに、Eclipse Foundation内部ではInterest GroupとWorking Groupの2つの組織形態が存在する。Interest Groupはベンダー非依存のガバナンス、それと協業をどう行うかの管理がメインであり、実際の作業などは行わない。それを行うのはWorking Groupで、Interest Groupで扱う事柄に加え、それこそエコシステムの開発や仕様の策定、ブランディングやcompatibility programの開始などの実作業を行うことになる。つまり、現状はまだInterest Groupの段階にとどまっており、Working Groupに移行するのは早くても2024年以降になるだろうと思われる。
ちょっと気になるのは、前述したように2023年10月17日の時点では11社がInterest Groupに参画していたわけだが、Eclipse Foundationの同年11月21日のエントリを読むと、ArmとEricssonの名前が落ちて9社になっていることだ(図5)。
Ericssonはそもそもなぜ参加したのだろう? という感じだが、ArmはRTOSの「Keil RTX5」と被るからだろうか?(Keil RTX5も機能安全に対応したバージョンが提供されている)。まぁ、あくまでまだInterest Groupの範囲であって、Working Groupになるとまた参加するようになるかもしれないのだが。
またx86のサポートがないにも関わらずAMDが参加しているのは、旧XilinxのFPGA製品にArmコアが搭載されている関係でThreadXを必要としているからだ(ThreadXはCortex-A/Cortex-Rを用いたAMP/SMPに対応している)。だとすると、Intelの名前がないのはちょっと不思議だが、旧Alteraから移行した同社のFPGA部門は間もなくスピンアウトするからだろう。おそらく、スピンアウト後の新会社がWorking Groupでは参加する、ということになるかもしれない。
それにしても、MicrosoftはやっぱりWindows以外のOSはうまく扱えなかったんだな、というのが正直な感想である。これでThreadXを外に出してしまうと、残るWindows以外のOSの大物はLinuxベースの「Azure Sphere OS」ということになるが、Microsoftは果たしてどこまでこれを自身で提供し続けるのだろうか。
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