ひとが感じる快適さをモデリングする 〜ひとを熱的視点で捉える〜1Dモデリングの勘所(26)(4/4 ページ)

» 2023年12月14日 09時00分 公開
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快適性の検証

 前項の解析を実行した結果をいくつか紹介し、本稿で示した快適性のモデリングの検証を行う。

  • 活動指標Met=1.0
  • 服装指標Clo=1.2
  • 温度ta=25℃
  • 風速v=1.2m/s2
  • 湿度RH=50%

を標準値として、これらを単独に値を変化させたときの結果を図5〜8に示す。

 図5は活動指標(Met)を変化させた場合の快適指標(PMV)の結果である。安静にしている状態から活動が活発になると、最初急激に快適指標の値が上昇し、最適値の0を超えて+方向に上昇していく。

活動指標(Met)を変化させた場合の快適指標(PMV) 図5 活動指標(Met)を変化させた場合の快適指標(PMV)[クリックで拡大]

 図6は服装指標(Clo)を変化させた場合の快適指標(PMV)の結果である。服を着ていない状態(Clo=0)では、相当寒く感じていることが分かる。服装指標の上昇とともに、快適指標は上昇。最適値の0を超えて暖かいと感じる状態まで移行している。

服装指標(Clo)を変化させた場合の快適指標(PMV) 図6 服装指標(Clo)を変化させた場合の快適指標(PMV)[クリックで拡大]

 図7は室内温度(ta)を変化させた場合の快適指標(PMV)の結果である。室内温度の上昇とともに、寒い→涼しい→快適→暖かい→暑いと快適指標が変化している。

室内温度(t_a)を変化させた場合の快適指標(PMV) 図7 室内温度(ta)を変化させた場合の快適指標(PMV)[クリックで拡大]

 図8は風速(v)を変化させた場合の快適指標(PMV)の結果である。快適指標が減少し、少し暖かい状態からちょうどいい状態に移行している。

風速(v)を変化させた場合の快適指標(PMV) 図8 風速(v)を変化させた場合の快適指標(PMV)[クリックで拡大]

 以上の結果は、日常経験する快適性を定性的に反映している(この種の評価は定量的にその妥当性を判断するのは難しい)。一方、図は示していないが、湿度(RH)を変化(上昇)させた場合、快適指標(PMV)も上昇したが、その度合いは予想したものより小さかった。通常、温度と湿度から不快指数という指標を用いるが、本稿で示した評価法にはこれが含まれないか、不快指数なるものは物理的に決まるものではなく、ひとの感覚を基準にしているかのどちらかだと考える。本稿の快適性の評価法はあくまでも物理的に定義した方法であり、最初に述べたように感覚的、心理的要因は考慮されていない。

 次回は、今回の快適性のモデリングの結果を受けて、逆に、快適性に関する機器をさまざまな側面で検討し、何らかのアイデアを考え、その効果をモデリングで検証する。 (次回へ続く

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筆者プロフィール:

大富浩一(https://1dcae.jp/profile/

日本機械学会 設計研究会
本研究会では、“ものづくりをもっと良いものへ”を目指して、種々の活動を行っている。1Dモデリングはその活動の一つである。


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