勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!
小川さん:学生時代アメフトで鍛えた、体育会系機械エンジニア&金属加工職人。経済統計に興味があり、趣味で統計データを共有する情報発信を続けている。ラーメン好き(現役時代よりも体重が増えていることは家族に内緒)。
経済構造に詳しい古川さん: 元エリート銀行マンで、現在は起業しスタートアップの事業支援など、製造業を中心としたエコシステムの構築を進めている。大学の非常勤講師や、地域経済活性化のための委員なども務める。実は照れ屋。
(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
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古川さん、前回のテーマは可処分所得でしたね。
はい、付加価値が分配された後の再分配によって手元に残るお金が可処分所得ということでした。
今回は、可処分所得からの消費や貯蓄ということについて教えていただけるんですね。
はい、可処分所得の中でまず消費が行われ、その余りが貯蓄されるということになります。
(5)にある可処分所得の使用勘定ですね。
生産勘定から始まり、今回の可処分所得の使用勘定により貯蓄が残るところまでを所得・支出勘定と言います。残った貯蓄の中から資本取引を行い、足りない分を資金調達するということになります。この部分については資本勘定・金融勘定として別に表現されます。
確か企業は最終消費がないため、「可処分所得=貯蓄」となり、所得の第2次分配勘定でフィニッシュということでしたね。
その通りです。最終消費は家計や政府、対家計民間非営利団体のみに発生する項目です。消費とは「モノやサービスを使い尽くす活動」と定義されていて、中間消費と最終消費に分かれます。中間消費は生産者が生産過程の中で使い切るモノやサービスの価額で、生産勘定において中間投入と呼ばれたものと同じです。
なるほど、最終消費の内訳が家計最終消費支出、政府最終消費支出、対家計民間非営利団体の最終消費支出となるわけですね。
はい、そうです。下の図も参考にしてみてください。また、対家計民間非営利団体の最終消費支出は非常に少ないため、家計と合わせて民間最終消費支出として取り扱われることも多いようです。
結構細かく項目が分かれているのですね!
家計では形態別の分類もされています。形態別では耐久度に応じて耐久財、半耐久財、非耐久財、サービスの4つに分けられます。
耐久財なのに、消費として扱うわけですか?
そうです。耐久財を投資(資本)として扱うのは家計の場合住宅のみです。自動車の購入などは耐久財の消費として扱われますよ。
そうなのですね。ちなみに、もう1つの年金受給権の変動調整というのは何でしょうか?
企業年金や退職一時金などの純社会負担と社会給付の差額として定義されています。金融勘定との整合性を保つための調整項目で、家計の受取側と金融機関の支払側に記録されます。ただ、非常に小さな数値ですので、あまり気にしなくて良いと思います。
分かりました! まずはざっくりと概念を理解することが大切ですね。
ひとまず、可処分所得から消費を引いた残りが貯蓄になるという関係を理解しました。貯蓄と言っても、資産(ストック)の概念ではなく、年間の収支(フロー)の概念になるということですね。
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