日本が「使えるお金」は世界何位? 家計や企業などの可処分所得を国際比較イチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(4)(1/5 ページ)

勉強した方がトクなのは分かるけど、なんだか難しそうでつい敬遠してしまう「経済」の話。モノづくりに関わる人が知っておきたい経済の仕組みについて、小川さん、古川さんと一緒にやさしく、詳しく学んでいきましょう!

» 2023年08月09日 06時00分 公開

小川さん:学生時代アメフトで鍛えた、体育会系機械エンジニア&金属加工職人。経済統計に興味があり、趣味で統計データを共有する情報発信を続けている。ラーメン好き(現役時代よりも体重が増えていることは家族に内緒)。


経済構造に詳しい古川さん: 元エリート銀行マンで、現在は起業しスタートアップの事業支援など、製造業を中心としたエコシステムの構築を進めている。大学の非常勤講師や、地域経済活性化のための委員なども務める。実は照れ屋。


(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

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そもそも「可処分所得」って何?

古川さん、前回は制度部門と付加価値の分配についてのお話でしたね。


稼いだ付加価値が、誰にどのくらい分配されるのかを解説しました。どの国でも、おおむね半分は労働者への雇用者報酬として分配されているようです。


今回はさらにその後の再分配のお話ということですね。


ええ。所得の合計ともいえる第1次所得と、再分配後の第2次所得についてまとめて解説していきましょう。


国民経済計算(SNA2008)体系図[クリックして拡大] 出所:小川製作所

解説する場所は、上のフロー図の(3)と(4)に当たる部分ですね。


解説部分の切り出し[クリックして拡大] 出所:小川製作所

いろいろな項目が出てきますが、基本的な流れを説明しましょう。付加価値の分配以外の収支である財産所得を加えた後、税金給付などで再分配が行われ、最終的に自由に使えるお金である可処分所得が残るという形です。


なるほど。付加価値の分配に財産所得を差し引きするのが(3)第1次所得の配分勘定で、その結果が総所得ともいえる第1次所得バランス(総)ですね。


はい、そこからさらに(4)所得の第2次分配勘定で再分配が行われ、それぞれの制度部門で可処分所得(総)が計算されることになります。


つまり、私たちが総所得の中から政府に税金などを一旦納めて、政府から給付などの公共的な支出として分配しなおしてもらうという事ですね。それぞれの項目についてもう少し詳しく教えてください。


概念を理解すればそれほど難しくはないですよ。下の表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。


表1:第1次所得の配分勘定[クリックして拡大] 出所:小川製作所
表2:所得の第2次所得の配分勘定[クリックして拡大] 出所:小川製作所

いろいろな項目がありますね。それぞれどのように理解すればよいですか?


用語は難しいですが、1つ1つ丁寧に理解すればイメージが湧くと思いますよ。所得・富などに課される経常税は所得税や法人税などで、純社会負担は社会保険料などの負担、現物社会移転以外の社会給付は社会保障給付と考えれば良いと思います。


なるほど。財産所得は付加価値の分配ではなく、財産を運用する事で得られる所得ということですね。さらに、再分配は稼ぎの中から必要とする人に所得を分け直すという、相互扶助的な仕組みだと理解しました!


そうです。この勘定は制度部門ごとにも、一国全体としても記録されています。そして、再分配を経てそれぞれで自由に使えるお金が可処分所得というわけですね。所得/富などに課される経常税は下の表にまとめましたので、参考にしてみてください。


表3:富・所得に課される経常税[クリックして拡大] 出所:小川製作所

給与明細や会社の決算書などでなじみのある税金がたくさんありますね。


そうですね! 所得税や法人税など、労働者や企業経営者にはなじみの深い税金です。


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