さあ、政府の可処分所得も見てみましょう。
家計や企業とはまたさらに雰囲気が変わりますね。
付加価値からの分配分である生産・輸入品に課される税は、受取側にとってそれほど大きなボリュームがあるわけではありません。その他の税や、社会負担・給付、経常移転などの存在感が大きいですね。
確かに! 政府の場合は所得を基に何かをするというよりも、家計や企業に対して分配・調整をする役目を果たしている、ということが良く表れているようです。
はい、その通りですね。この図には、政府が再分配の仲介機能を果たしている様子が表れています。家計や企業の負担分が政府の受取側に、家計や企業の受取分が政府の支払側に記録されていると見ると、政府が再分配を中心に機能していることがよく分かります。
では、日本の現状をより良く理解するために、部門ごとの可処分所得の水準を国際比較してみましょうか。
上のグラフが部門ごとの可処分所得ですね。やはりというか、日本の家計は1990年代にかなり高い水準に達して、その後横ばい傾向にあります。
しかも最近ではフランスを下回り、イタリアと同程度で主要国の中では低い方に位置するようですね。
そうですね。一方で日本の企業はバブル期から、主要国の中でも極端に高い水準が続いています。政府は1990年代中盤をピークにして一度減少した後横ばいですね。最近では主要国の中でも低い水準です。
そう考えると、日本の企業はずいぶんと異質な感じがしますね。
ええ、日本の企業は他の主要先進国と比べると、可処分所得を大きく稼いできたことになります。この点は、この後に続く貯蓄や投資などのテーマにも影響する部分です。次回以降も企業に注目していきましょう。
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