せっかくですので、統計データで付加価値から可処分所得への変化を見てみましょう。
上のグラフが、第1次所得の配分勘定と所得の第2次分配勘定をまとめたものです。受取側はプラスに、支払側はマイナスに表記しています。付加価値(総)を出発点として、財産所得と再分配の受払項目がそれぞれ足し引きされ、その結果となる正味の数値が可処分所得(黒線、青線)であることを示しています。
フロー図に対応した項目が、受取側と支払側に両方出ていますね。結局、財産所得も再分配も同じような項目が打ち消しあって、可処分所得は付加価値とほとんど変わらないように見えます。
良いところに気が付きましたね! 財産所得も再分配も、国内の制度部門同士で受け取り、支払い合っている構図です。ですから、受け取り側と支払側に同じような項目が、同じような数値で出てきます。
そして、日本全体で見た場合の可処分所得(総)は、付加価値(総)とほぼ変わらないわけですね。
なるほど、再分配は実質的にそのような仕組みを取るのですね。つまり、私たちが自由に使える可処分所得の総量は、結局付加価値の合計(GDP)にほぼ等しい! 付加価値を増やさないと、なかなか所得は上がらないということですね。
ところで、ここで出てきた可処分所得は、私たち家計だけのものではなく、企業や政府の分も含まれるのでしょうか。
はい、日本国全体として使えるお金という事になります。実際には、この中から消費や投資が行われ、足りない分を資金調達するという流れになります。次回以降で扱う所得の使用勘定や、資本勘定・金融勘定といった範囲がここに関わってきますよ。
なるほど、今から楽しみです!
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