さて、ここからは各部門の状況を統計データを見ながら理解していきましょう。まずは、私たちに一番なじみが深い家計からです。
上のグラフが家計の可処分所得の推移を表すグラフですね。
まず付加価値の分配として、雇用者報酬と、営業余剰・混合所得(総)が家計に分配されます。その後、財産所得の受払(第1次所得の配分勘定)があり、税金と社会保障負担を支払い、社会給付を受け取って可処分所得(総)となるわけですね。
そう説明していただけると、直感的にも理解しやすいです。ここでも、付加価値の分配と、可処分所得(総)は大体同じくらいということになりますね。
付加価値の家計への分配として、雇用者報酬ばかりでなく、営業余剰・混合所得も意外と多いようです。個人事業や、持家によるGDPへの貢献も大きいと言えそうですね。
続いて、企業(非金融法人企業)の可処分所得を見てみましょう。
これが企業の可処分所得を示したグラフですね。家計とは雰囲気が違います!
そうですね。なんといっても可処分所得(総)に対して、可処分所得(純)がかなり目減りしています。企業は設備を少しずつ消耗しながら生産活動をしているわけですが、その固定資本減耗の影響が大きいゆえです。
営業余剰がたくさんあってもうかっているようには見えますが、実際にはそうでもないというわけですね。
ただし企業には所得の使用勘定における最終消費の概念がありません。そのため「可処分所得=純貯蓄」となります。最終消費は家計、一般政府、対家計民間非営利団体のみに発生する項目です。
企業の場合は全て中間投入(中間消費)になるということですね。そうすると、この可処分所得(純)=貯蓄(純)は、損益計算書でいうところの当期純利益と同じようなモノと考えればよいでしょうか?
はい。ざっくりとそのように理解すればよいと思いますよ。ここからさらに資本への投資や、資金調達に進むわけですが、それらは貸借対照表と対応することになりますね。
なお、SNAによるフローでもこの純貯蓄を導き出すまでが所得・支出勘定と呼ばれ、この後の資本勘定、金融勘定とは分かれています。
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