それではせっかくですので、家計や政府の最終消費と貯蓄について見てみましょう。まずは、家計からです。
前回と同じように受取側をプラス、支払側をマイナスで表現しています。可処分所得(総)に対して最終消費支出分を差し引いた正味の貯蓄(総)を、黒線で表しています。そこからさらに固定資本減耗を差し引いたのが青線の貯蓄(純)ですね。
可処分所得も家計最終消費支出も停滞気味ですが、ほぼ最終消費で可処分所得を使い切っているような印象ですね。
ええ。可処分所得に対して、貯蓄がかなり少ないようです。特に貯蓄(純)で見ると、2002年頃から2019年頃までほぼゼロで推移しています。
2020年と2021年で増加しているのは、コロナ禍に対応した給付金などの影響もあると思いますが、消費が減少している事も大きく関係しているようです。
貯蓄は1990年代後半から徐々に減少して、下げ止まった状態で停滞していたような推移ですね。
良いところに気が付きましたね! そのあたりは金融勘定などでポイントとなる部分ですので、よく覚えておいてください。
それでは政府の方はどうでしょうか?
政府最終消費支出は増え続けていますが、可処分所得は1990年代前半からアップダウンしながら横ばい傾向にありますね。
はい、そうですね。貯蓄(総)の段階でややマイナス気味で推移しています。貯蓄(純)で見ると、1998年以降常にマイナスになってしまっていますね。
必要な消費に対して、可処分所得が足りていないわけですね。でも、ここからさらに投資しようとしても、すでにマイナスだとどうしようもないですね……。
そうですね、この後の投資を含めた純貸出/純借入については、次回に注意深く見ることにしましょう。
企業の貯蓄についても見てみましょうか。繰り返しになりますが、企業には最終消費支出という項目がないため「可処分所得=貯蓄」となります。
貯蓄(総)は2004年にかけて増加し、その後横ばい傾向に見えます。貯蓄(純)は、バブル崩壊により急激に減少し、1994年を底にして増加、2004年をピークにしてアップダウンしている感じですね。
そうですね、特に貯蓄(純)がある程度高い水準で高止まりしていることもポイントになってきそうですので、これもよく覚えておいてくださいね。
分かりました!
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