子宮内膜ポリープは、子宮内膜が肥厚もしくは増殖して限局的に子宮内腔に突出したもので、30歳以上で10〜24%存在し諸症状を引き起こすといわれている。この子宮内膜ポリープを切除する手術は、入院による手術数の増加により国内で年間2万件以上実施されているものの、日帰り治療が可能な外来手術については年間5000件で頭打ちになっている。不妊治療クリニックなどでは、子宮内膜ポリープの外来手術に対するニーズはあるものの、従来の高価で広い設置スペースが必要な子宮鏡システムは外来手術には不向きなこともあって件数が増えていなかった。
オペラスコープを使えば、子宮鏡システムを導入することなく子宮内膜ポリープの外来手術を行えるため、不妊治療クリニックを中心に提案活動を進めていく。これによって、年間5000件程度の子宮内膜ポリープの外来手術数そのものを1万件にまで増やすことで、事業規模の拡大につなげたい考えだ。また、子宮鏡などでの確認を行わない子宮腔内掻把術による子宮内膜ポリープ切除術も年間3万件ほど行われており、これをオペラスコープによる手術に置き換えていくことも可能としている。
テルモでオペラスコープを手掛けるのが、メディカルソリューションズカンパニー傘下のMIS/Women's Healthグループ(MISW)である。同グループ ディレクターの北村圭子氏は「MISWの主力商品は、開発に14年をかけ、2016年に実用化したスプレー型癒着防止材のアドスプレーである。それまでテルモでは腹部〜骨盤向けの商材はなかったが、アドスプレーによってその領域に進出することができた。現在アドスプレーは年間売上高で30億円の規模にまでなっている」と語る。
アドスプレーの診療科別売り上げ比率では婦人科が65%を占めている。婦人科からの支持が厚いアドスプレーを中核事業として展開してきたこともあり、2022年の組織名称変更の際に低侵襲を意味するMISにWomen's Healthを加えてMISWとなった。「アドスプレーの価値の最大化に加えて、シナジー効果のある婦人科ポートフォリオを創造していく。今回のオペラスコープはその第1弾になる。現在、両手で数えられる範囲内でラインアップ拡充に向けたプロジェクトを走らせているが、2026年度をめどとした中期経営計画の中では片手で数えられる範囲内でラインアップを追加したいと考えている」(北村氏)という。
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