三井化学は、廃プラスチック分解油を用いたケミカルリサイクル製品の生産を開始する。廃プラ分解油をクラッカーに投入して製造した基礎原料からは、これまでリサイクル品の利用が難しかった用途にも利用可能な誘導品を生成できる。
三井化学は2023年7月27日、廃プラスチック由来の熱分解油(廃プラ分解油)を用いたケミカルリサイクル製品の生産を開始すると発表した。
同社は合成樹脂事業を展開するCFPから廃プラ分解油を調達し、2024年1〜3月から大阪工場(大阪府高石市)のクラッカー(分解装置)に原料として投入する計画だ。ケミカルリサイクルで化学品やプラスチックを製造し、マスバランス(物質収支)方式によりリサイクル特性を割り当てる。
廃プラ分解油は、石油由来のナフサやバイオマスナフサと同じ炭化水素油で、クラッカーに投入することで、エチレンやプロピレン、C4およびC5留分、ベンゼンなどの基礎原料を製造できる。
製造した基礎原料から生成した化学品やポリマーなどの誘導品は、既存品と全く同等の物性となるため、品質や衛生面の懸念からリサイクル品の使用が難しかった用途にも使用可能になる。
同社は、廃プラなどの廃棄物の有効活用を目指す「RePLAYER」と、バイオマスでカーボンニュートラルを推進する「BePLAYER」に取り組んでいる。2021年12月からバイオマスナフサをクラッカーに投入しているのと同様に、今回の計画も「素材の素材から変えていく」動きであり、これらを通じてコンビナートのサステナブル化を目指す。
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