JX金属は、「第37回 ものづくり ワールド[東京]で、3Dプリンタ材料として開発を進める「レーザーPBF(粉末床溶融結合)方式用表面処理銅紛」や「EBM(電子ビーム積層造形)方式用表面処理銅紛」を披露した。
JX金属は、「第37回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2025年7月9〜11日/会場:幕張メッセ)の構成展の1つである「第8回 次世代3Dプリンタ展[東京]」で、3Dプリンタ材料として開発を進める「レーザーPBF(粉末床溶融結合)方式用表面処理銅紛」や「EBM(電子ビーム積層造形)方式用表面処理銅紛」を披露した。
レーザーPBF方式用表面処理銅紛は、独自の表面処理により、高純度かつ純銅相当の高電気伝導率と高熱伝導率を実現した他、未処理の純銅紛では造形が困難なレーザー出力400Wや500Wでも3Dプリントできる。生産性は、銅-クロム-ジルコニウム(CuCrZr)などの銅合金に相当し、造形後に熱処理をすることなく、CuCrZrに比べて優れた電気伝導性と熱伝導性を備えている。
造形後の熱処理が不要なため製造プロセスが短縮される。従来の銅合金では、造形後に熱処理しないと電気伝導率が60%程度にとどまっていたが、レーザーPBF方式用表面処理銅紛では熱処理なしで99%以上の電気伝導率を達成できる。
JX金属の説明員は「これまでのレーザーPBF方式では、銅がレーザー光を9割以上反射してしまうため、高出力のレーザーを使用しても、内部まで熱が伝わらず、高品質な造形ができなかった。当社のレーザーPBF方式用表面処理銅紛は、銅の粉末に特殊なコーティングを施すことで、レーザーの反射を抑えている。これにより、通常の500W程度のレーザーでも造形が行える」と話す。
EBM方式用表面処理銅紛は、独自の表面処理により、予備加熱で生じる仮焼結を抑制し、造形の自由度を高められる。
いずれも用途としては、効率的な放熱が求められるヒートシンクや高い電気伝導性が必要なインダクションコイルなどを想定している。
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