JX金属は、100%リサイクル電気銅の供給と銅の水平リサイクル社会実装のための準備が完了した。
JX金属は2024年7月3日、2023年度から上市を目指していた、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅に関して、同方式の信頼性を高めるために必須であるChain of Custody (以下、CoC管理)の第三者機関による妥当性確認を終え、100%リサイクル電気銅の供給と銅の水平リサイクル社会実装のための準備が完了したと発表した。
水平リサイクルは、銅の資源循環の流れを顧客に可視化することにつながり、銅を利用して製品を製造する顧客自らが資源循環に取り組むことを強くサポートするものだ。また、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅は、リサイクル原料のみから製造されたと見なすことができるため、カーボンフットプリントを低減でき、顧客の「Scope3(Scope1、2を除く事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出量)」に該当する温暖化ガスの排出低減に貢献する。
同社は、サステナブルな銅の供給とその進化に向けた施策を示した「サステナブルカッパー・ビジョン」に基づき、グリーンハイブリッド製錬を推進している。2024年1月には、マスバランス方式を用いて100%リサイクル電気銅を商品化する予定であることを公表した。
一方、100%リサイクル電気銅で利用するマスバランス方式の信頼性を確保するためには、CoC管理と呼ばれる管理体制を確立することが必要だ。CoC管理は、リサイクル原料とリサイクル原料から製造した電気銅の物量管理を信頼性高く実施する仕組みだ。今回は、第三者機関のDNVビジネス・アシュアランス・ジャパンがJX金属のCoC管理体制の妥当性を確認し、JX金属は、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅の供給体制の構築を完了した。
これにより、JX金属は、特定の顧客から供給されたリサイクル原料を、その顧客へ100%リサイクル電気銅として返還するPCL100/mbの供給スキームを信頼性高く実現可能とし、銅の水平リサイクルを可能とする先進的な体制を整えた。現在、さまざまな顧客と銅の水平リサイクルの社会実装へ向けて、協議を進めている。
なお、同社は「Cu again」という名称で100%リサイクル電気銅の社会実装を目指すプロジェクトを推進している。
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