プロジェクトでは、その展開に関連するさまざまな取り組みも行われている。このうち「エコプラ」を活用したものでは「ガンダムR(リサイクル)作戦」と「ガンプラアカデミア」がある。
ガンダムR作戦は、同プロジェクトの活動に賛同した企業の施設を借りて、エコプラの組み立て体験会やリサイクルプロジェクトの内容を紹介するイベントで、2年間で延べ15万人以上が参加した。一方、ガンプラアカデミアは小学5年生をメインの対象とした特別授業であり、これまで延べ24万人が体験している。内容はバンダイホビーセンターのモノづくりを学習し、実際にプラモデルを組み立てるというカリキュラムとなっている。
この他、プラモデルの魅力を伝え、プラスチックの可能性を啓発する野外イベント「PLAY!PLAY!PLAMO!」も2023年3月に東京と大阪で開催した。その場で回収したランナーを粉砕して、射出成形機でそのまま成形し、記念品に作り替えて来場者にプレゼントすることで、プラスチックの可能性を感じてもらうという企画だ。
2021年4月1日からスタートした同プロジェクトの実績については、回収量が1年目で11t(トン)、2年目で21tと大きく伸びている。さらに「一番大切なことは、これらを全量マテリアルリサイクルしているという点だ。生産上出てくる純度の高い廃材との配合で品質を担保しつつ、回収したものを全て循環させることができた」(松橋氏)とし、今後はさらに規模が大きくなっても循環ができるようなスキーム進化を目標とする。
また、将来に向けてのロードマップとしては、リサイクルだけではなく、世界中の多様な考えに対応し、リデュースの視点から、石油由来を減らした樹脂の共同開発や設計上の工夫も並行して取り組む構えだ。
松橋氏は、講演の最後に製造業の持続可能な未来について次のように語る。
「われわれはプラモデルの生産を40年以上行っているが、これまでは再現度を高めたり、より可動領域を広げたりすることに価値を置いていた。しかし、コロナ禍においてその価値が大きく変化したことに気が付いた。暗い時期だったからこそ、プラモデルが希望の持てる心の支えになっていた。時間を忘れ、夢中になって楽しく組めるような価値につながる技術進化や、組んだ後、コミュニケーションになる場の提供を行い、今までとは違った付加価値を考えるようなった。カーボンニュートラルも価値の1つと捉える人も増えてきている。その価値をうまく取り入れていくことが、持続可能な未来につながる」(松橋氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.