ガンダムのプラモデル(ガンプラ)の設計・製造の世界は、家電や産業機械とは随分と違う設計思想やカルチャーを持つ。ユニークなテーマでいつもと視点を変えることにより、モノづくりのヒラメキが得られるかも!?(編集部)
男の子なら誰もが!? 憧れた「機動戦士 ガンダム」(以下、ガンダム)シリーズ。成長した男の子たちは、いま、アーケードゲームに魅了される(ちなみに甚さんや良君も大好きだ)。
さて、そんなガンダムも2009年で30周年を迎える。お台場に降臨した「等身大ガンダム」のほか、記念展示や体験ステージなどのイベントなども行われる。
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⇒ | GUNDAM 30th ANNIVERSARY」公式ページ |
MONOistでも読者(モノづくりエンジニア)の業務により近い部分で、このガンダムというテーマにトライしていく。本シリーズ「ガンプラ こだわりのモノづくり」では、ガンダムのプラモデルの設計と生産現場事情について、全3回構成で紹介していく。
皆さんもご存じのとおり、ガンダムのプラモデルは「ガンプラ」という愛称で呼ばれる。本シリーズでも、ガンダムのプラモデルのことを「ガンプラ」と呼ばせていただくことにする。
本シリーズが、読者さま方に楽しんでいただくばかりではなく、皆さまの携わる業務の役に立つことが少しでもあるのならこの上ない幸いだ。
ガンダムのアニメシリーズができると、ガンプラの企画も同時にスタートする。この両者はいまや切っても切り離せぬ関係だ。アニメーション制作元(サンライズ)からくる指示に、迅速かつ柔軟な協調を行うことが要求される。
ガンプラを製造するバンダイのホビーセンター(ホビー事業部)では、企画から生産までの一切を1つの建屋の中で行うことで、部門間協調を密に行っている。バンダイのプラモデル事業は今井科学の工場を同社が買収し、バンダイ模型という会社を設立したところから開始し、1980年からはガンプラの製造が始まった。しばらくは静岡市清水区にあり、その後にいまの静岡市葵区へと移転し金型・成形工場も1つの建屋へ集約した。
同社屋の設備管理には雨水や太陽光を利用し、環境への配慮もしている。なお、同社の環境問題の取り組みの一環の製品として「エコプラ」を発売している。エコプラとはプラスチック成形時に多量に排出するスプルー(成形機の注入口からランナーまでの樹脂流入経路)などの廃材をリサイクルした材料で作ったガンプラの限定版シリーズ。真っ黒な理由とは、混ざった廃材の色を統一するため。ちなみに、こちらはホビーセンターでの限定販売となっている。*2009年7月現在。一部、イベントなどで販売されることがある(お台場での30周年イベント会場など)
社員たちは地球連邦軍風の上着に身を包んでいる。これは多くの子供が社屋の見学に訪れることを配慮したもの。それぞれのエリアにはセキュリティレベルが記載されたガンダム調なドアがある。ちなみに男子トイレ内にある扉に記載されたレベルは「0」(警戒なし)。
その社員たちも、やはり誰もがガンダムファン、ガンダムマニアなのか?
「そうとは限りません。ガンプラ作りにおいては、アニメーションの世界にのめりこみ過ぎず、冷静な視点が必要な場合があるのではないかと思います。ただ、開発・設計に携わる社員のガンダムに関する知識は、マニアの方以上です」と、同社 ホビー事業部 事業推進チーム サブリーダーの中桐美由貴氏はいう。
同社の玩具で、国内で生産しているのはガンプラを含むプラモデルのみだ。超合金などほかの玩具は、すべてアジア圏での生産だ。どうしてプラモデルだけが国産なのか? その答えはいたって簡単だ。
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